ここのところ債務整理関連の相談が多くなっている。事務所ウェブサイトでも債務整理関連のページについてのSEOに力を入れ始めたところなので狙いが上手くいっているというところだろうか。

ここ数年、相続登記や相続放棄など相続関連の用語についてのSEOに注力しており、その成果は確実に上がってきた。かつては、債務整理(任意整理、自己破産、民事再生)と過払い金請求の業務からの売上が大部分を占めていた時期もあるが、現在では相続関連業務からの売上が大部分となっている。

しかし、相続関連業務については多くの司法書士事務所も力を入れており競合が非常に激しくなっている。たとえば、当事務所が相続放棄に特化したサイトを公開し始めた頃は、競合するサイトはごく少数だったのが、今は相続放棄の専門家(?)によるウェブサイトがひしめき合っている状況だ。

それでも、相続放棄、相続登記など相続関連業務の相談・依頼はそれなりに多く入り続けているのだが、これ以上の大幅な増加は期待できないと考えている。そこで、今になって再び債務整理関連の業務に力を入れようと思った次第。

債務整理の中でも、個人版民事再生と自己破産のご依頼が再び増え始めると考えている。もちろん、任意整理の依頼もあるがグレーゾーン金利が撤廃されてからだいぶ時間が経った今では、引き直し計算により債務が減るというケースは少なくなっている。

したがって、任意整理により大幅に支払が楽になるとのケースはあまりないわけだ。また、銀行カードローンからの借入では1社当たりの元金が200万円、300万円というケースも珍しくないので任意整理では支払が困難な場合も多い(元金が140万円を超える場合、そもそも認定司法書士が任意整理をおこなうことができないが)。

そんな状況もあって、当事務所では住宅ローンがない場合であっても個人版民事再生を利用するケースが多くなっている。当事務所所在地にある地方裁判所では、司法書士が書類作成をしての個人再生手続では必ず個人再生委員が選任される。

そのため再生手手続開始申立の際、予納金、収入印紙、郵便切手の合計が住宅資金特則無しの場合で18万円弱、住宅資金特則を利用する場合は約23万円かかる。

この他に司法書士報酬もかかるのだから、裁判所費用と合わせるとかなりの額になる。しかしそれでも、個人版民事再生を利用することによる債務の圧縮効果は絶大なので、任意整理では無理だった債務整理が民事再生ならば可能になるケースも多い。

記事タイトルにある「個人版民事再生と任意整理を同時に受任」とあるのは、夫婦からの相談で、夫婦の一方は個人版民事再生、もう一方は任意整理を前提に受任したということ。

夫については複数の債権者から多額の借入があるため民事再生を選択。妻に関しては債務整理をせずに返済していくことも考えられるが、家計全体の状況を少しでも改善させるために任意整理をすることにした。

2つの手続きをご依頼いただくため司法書士費用はかなり高額になるが、それでも民事再生と任意整理によれば自宅不動産を維持しつつの債務整理が十分に可能であると判断した次第。

マーケティングの話に戻ると、司法書士の場合、積極的に債務整理を手がけている人はごく一部なので、司法書士同士の競合はあまりない。そして、弁護士に相談したが費用が高かったとか、印象がよくなかったとかで、司法書士である当事務所への依頼を希望される方も少なくない。

自己破産や民事再生の手続きは非常に手間がかかるので、たとえば、自己破産申立書等の作成で20万円をいただいたとしても、決して収益性が高いとはいえない。それでも、弁護士では無いもう一つの選択肢として、再び頑張っていこうと思っているこの後頃なのである。

全く債務整理業務の経験が無い司法書士が新たに始めるのはかなりハードルが高いとは思う。しかし、現在もこれからも需要は確実にある分野なのだからやってみる価値はあるだろう。