当ブログへのアクセス解析データを見ていたら、「司法書士 食える」との検索キーワードによる訪問者が多いようだ。「司法書士 食える」でGoogle検索すると当ブログのページが5位に表示されるので当然と言えば当然だが、そのようなキーワードで上位表示されても何も良いことは無い。

もしも、「司法書士 相続登記」なんていう検索キーワードで5位なら喜ばしいことではあるが、そのようなキーワードで5位になるのは容易なことではない。「司法書士 食える」とのキーワードで上位表示を目指し、SEO対策をする司法書士はまず存在しないだろうから、関連するような記事を書くとすぐに上位表示されてしまうわけだ。

司法書士が食えるかについての話は過去記事(「司法書士で新規開業して食えるのか」など)をご覧いただきたいが、「今から司法書士試験の勉強をはじめようかと思っているがどうだろう?」と聞かれたならば、やめた方が良いと答えるだろう。私が司法書士事務所を開業した10数年前の時点でならば、まだまだ夢も希望も持てたと思うが、今から独立開業して経営を軌道に乗せるのは非常に大変に思う。

司法書士の数は増えているのに、不動産登記など司法書士業務の件数は減っており、この傾向が短期間のうちに大きく変わることはないはずだから。

それ以前の問題として、司法書士試験は今でも相当に難しいと思われるので、2,3年の勉強で確実に受かることを前提に人生設計をするのは危険だろう。そして、仮に予定どおりに受かったとしても、独立開業して食っていくのは大変だというわけだ。

ただ、大変だとはいっても試験という参入障壁があるのだから、ラーメン屋とか居酒屋を一から始めるよりは、司法書士の方が食える可能性は高いのかもしれない。銀行や不動産業者への飛び込み営業を繰り返す努力と根性があれば、新規開業した司法書士でも決して食えないことはないはず。しかし、そんな営業力があるならば司法書士じゃなくたって食えるだろうから、試験が難しく将来性に不安がある司法書士の資格をわざわざ取る必要は無いようにも思う。

そして、飛び込み営業なんかはできないけれども、ネットで集客すればとりあえず食っていく位の仕事には困らないだろうと考える人もいるかもしれないが、それもなかなか困難な道であるように感じる。新たに開業した司法書士事務所のホームページを継続的に観察していると、一時は検索結果の上位に表示されるものの、短期間のうちに下落していく例が多いように思う。

ネットで集客するためには、ずっと検索結果の上位に位置し続けなければならない。たとえば、司法書士+地域名のキーワードで3位になったとして、そのときは依頼が来るかもしれない。けれども、半年後にはGoogle検索の2ページ目以降に落ちてしまったとしたら、新規の問合せは一切来ないことも考えられるわけだ。

司法書士の場合、同じ人から何度も依頼があるというケースは少ない。頻繁に相続登記や会社設立登記をするなんて人はいないからだ。したがって、司法書士がネットで集客するとなれば、新規のご相談者を獲得し続けなければならないことになる。この点は、先ほど例に挙げたラーメン屋とか居酒屋との大きな違いである。飲食店ならば、常連客が付けば無理に手を広げることなく細々と食っていくという選択肢もあるだろう。しかし、司法書士の場合には常連客だけを相手にしていくなんてことはできない。

なお、ここで書いているのは、ネットによる集客によって不特定多数の顧客を獲得しようとする場合についてである。特定の銀行や不動産業者からの依頼により業務をおこなっていくのであれば、確実な取引先をいくつか抑えておけば経営は安定するわけだから話は全く違う。しかしながら、そのような取引先をネットによる集客で獲得できるとは思えないので、やっぱり対面による営業活動が必要になるだろうから、ネットによる集客で細々と食っていきたいとの希望には合致しない。

「司法書士 食える」の検索キーワードで上位表示されていることを書きたかっただけなのだが、思いつくままに綴っていたら1つの記事になってしまった。しかし、今の時代に不安無くずっと食っていける職業を探すってのがそもそも難しい話なのだと思うわけで。