当事務所が開業したのはもう20年も前のことだが、その頃に新規開業した司法書士の中には、債務整理業務(当時はクレサラ業務とも言っていた)に取り組む人も多くいた。

開業したときは認定司法書士の制度ができる前だったので、司法書士が取り扱える債務整理業務といえば、自己破産、個人再生、特定調停申立書などの裁判所提出書類の作成に限られていた。

その後、簡裁代理権が得られるとすぐに任意整理業務を開始したが、代理人として債務整理の受任通知を債権者へ送ることができるようになったのも非常に大きな変化であった。

それまでは、司法書士に依頼しても債権者からの督促を止めることはできなかったので、やれることといえば裁判所への申立てを急ぐしかなかったのだ。

昔話はさておき、かつては事務所の売り上げの中で債務整理業務が結構な割合を占めている時期もあったのだが、近年では新規のお問い合わせがめっきりと減っている。

たぶんその原因は、大きな弁護士法人などが積極的に広告宣伝活動をしていることにより、大多数の新規問合せがそちらに流れているのだろうと考えている。

「債務整理 ○○市」のようなキーワードでGoogle検索しても、法律事務所(弁護士法人)のウェブサイトや弁護士検索のポータルサイトばかりが上位に表示されている。

また、Google広告などのPPC広告でも、債務整理関連のキーワードについては1クリック単価が高騰しているようだから、零細司法書士事務所では到底太刀打ちできない。

これはもう完全に時代の流れであり、再び認定司法書士への債務整理の相談が増えるような時代は訪れないだろう。

債務整理については、司法書士にできることは全て当然に弁護士がおこなえるのだから、どうやっても司法書士の出る幕はなくなっていくのだろう。

ほぼ確実に同時廃止により免責の得られるような給与所得者の自己破産などでは、費用面を考慮すれば司法書士への需要もあると思うのだが、圧倒的な広告宣伝力の違いを前にしては何ともしようがない。

前置きが非常に長くなったがここから本題。

そんなこんなで、債務整理業務についてのネット集客はほぼ諦めつつあるのだが、現在でもそれなりにご相談をいだたくのが消滅時効援用である。

当事務所のSEOがうまくいっているからなのか、弁護士には単価が低すぎて扱いづらいのか、それとも、弁護士にもものすごい件数の相談がいっている中で、当事務所にほんの僅かなおこぼれが来てるだけなのかは分からないが、とにかく消滅時効援用のご相談はコンスタントに入っている。

最近は、れいわクレジット管理株式会社から通知が来たとのご相談が立て続けにあった。同社からの通知には次のような記載がある。

予てからご案内申し上げておりますとおり、弊社は三菱UFJニコス株式会社からクレジット債権の一部を会社分割(吸収分割)により承継し、その後、MUニコス・クレジット株式会社かられいわクレジット管理株式会社へ社名変更しております。

かつての三菱UFJニコス株式会社からの債務について、れいわクレジット管理株式会社から督促が来ているわけだ。

最初は「残高証明書」が送られてくることが多いようだが、そのうち訴状が送られてきたいうケースもあるので、いつまでも放置しておいて済むものではない。

消滅時効援用は内容証明を送ればそれで解決であるのが通常なので、他の債務整理業務と比べて処理が容易であることも多い。しかし、当然のことながら毎回いつでも簡単に終わるというわけではない。

そして、ご相談の多くが債権者1社のみへの消滅時効援用なので、相談件数が増えたからといって事務所の売り上げが大幅に増えるというものでもない。

結局、消滅時効援用の集客にいくら力を入れても、それが事務所経営を支えるようなものにはなり得ないだろうという結論。

消滅時効援用とは違うが、一時期は相続放棄の集客に力を入れていたところが多かったように感じる。どちらも、簡単なものについては定型的な処理ができるという点で共通しているか。

けれども、そのような取り扱いやすい業務については、集客競争も激化しやすいわけで。

とくに結論のない投稿になってしまったけれども、ネットによる集客はすぐに大勢が同じところを狙うようになるので、長く稼ぎ続けるのは難しいのです。