今日は裁判所へ再生計画案の提出をした。以前より件数は減っているものの、個人の自己破産や民事再生の手続きもおこなっている。債務額が140万円を超えている債権者については、司法書士に代理権が無いことが最高裁判例で明らかになっているが、裁判所提出書類の作成については代理権の範囲は関係ない。

それでも、私がクレサラ業務を取扱いはじめた10数年前とは異なり、今では債務整理業務をおこなう弁護士も多くなっているのだから、あまり積極的に取り組まなくても良いかと考えているのが正直なところではある。それでも、多くの弁護士と比べて低額な報酬で請け負っているせいもあってか、新規のお問い合わせはそれなりに入っているので、無理のない範囲で依頼を承るようにしている。

自己破産の場合、当地の裁判所では管財事件になった際には50万円の予納金を求められることになるので、自己破産を選択しづらいケースも多い。そして、そのようなケースで自己破産をするならば、弁護士に依頼することをお勧めしている。弁護士が代理人となっているときには少額管財(予納金20万円)になると思われるからだ。

弁護士費用がそもそも高額だったとすれば、通常管財ではなく少額管財になったとしても費用面でのメリットはそれほど大きくないかもしれないが、本人申立をして通常管財になってしまうのはやはり避けたいところであり。そんなこともあり、当事務所では住宅ローンがない人についても民事再生(小規模個人再生)を積極的に選択する場合もある。

民事再生法には、破産の場合の免責不許可に相当するような規定がないので、利用するにあたって借入の理由が問われないし、想定外に高額な予納金の納付を求められるようなこともないから結果の予測ができる。小規模個人再生では、再生計画案について債権者による決議を経る必要があるが、こちらも決議の結果については概ね予想が付くから突然否決されるような心配はほぼない。

司法書士による申立の場合、全件で個人再生委員が選任されているのでその報酬(住宅ローンがない場合は15万円)がかかるが、自己破産で通常管財になるよりは遥かに低額だし、そもそも予納金の準備が出来てから申立をしているのだから何も問題無い。また、民事再生では再生計画に従って弁済をする必要もあるが、こちらも計画通りの弁済なのだから当然に支払えるはず。

よって、半年程度の期間内に予納金と司法書士報酬の積立をすることが可能なくらいの収入がある場合には、自己破産ではなく民事再生を選ぶのが良いと考えられるケースも多い。本人申立での自己破産で問題ないのは、借入の事情に問題がなく、管財事件になる可能性がほとんど無いと考えられるような場合だろうか。そうでない場合は、司法書士としては躊躇せざるを得ない。

再生計画案を提出した話とは全く関係なくなってしまったが、今でも債務整理業務をおこなっている司法書士もいるのだ。近年に開業した司法書士の場合、債務整理業務を扱わないという人も多いようだが。