取締役1名の株式会社が解散する場合、会社解散時の代表取締役がそのまま代表清算人に就任する場合が多いだろう。

今回は、代表取締役の住所が変わっている場合、株式会社解散及び清算人選任(または就任)登記をする前に、代表取締役の住所変更登記を省略できるのかというお話し。

本来であれば、代表取締役の住所移転があった際には、2週間以内に代表取締役の住所変更の登記をすべきであったのが、登記懈怠の状態になっていたというわけだ。

会社解散をするときになって初めて依頼を受けたようなときには、このようなこともあるだろう。何年も前に事業を停止して放置されていたような株式会社であれば、代表取締役の住所変更登記だけはちゃんとやってるなんてことの方が珍しいはずだし。

しかしながら、私自身はこのようなケースでの登記をした経験はたぶん無いので、一体どうしたらよいかと少し悩んだ次第。

他の司法書士のブログなどで同様のケースについての記述もいくつか見かけたので、改めて書くような話ではないだろうが備忘録的に記しておくことにする。今回は無事に登記が完了しているが、実際に手続きをする際にはもちろん自己責任でお願いします。

さて、もったいぶって書いたわりにたいした結論ではないのだが、今回は株主総会の決議により清算人を選任することとした。

取締役が1名の会社であれば、株主総会の決議により選任せずとも、いわゆる法定清算人として、その唯一の取締役がそのまま(代表)清算人となる。

しかし、法定清算人として就任する場合には、解散および清算人就任登記の前提登記として、代表取締役の住所変更登記の申請が必要であると考えられる。

他の司法書士が書いているものを見ると、代表取締役の住所変更登記が不要であるとの記述もあるが、そんなことを管轄法務局に事前照会するわけにもいかない。

そこで、株主総会の決議によって清算人を選任すれば、代表取締役の住所と代表清算人の住所とが違っていても問題なく清算人選任の登記がおこなえるわけだ。

そう言いつつも、1人取締役の会社でその取締役が清算人なるのに、わざわざ株主総会の決議によるというのが何だか気持ち悪い。登記が完了するまでは少し不安だったりもしたのだが、当然のごとく無事に登記は完了したので一安心。

ちなみに、法定清算人の場合には「就任」するが、株主総会の決議による場合には清算人は「選任」となる。司法書士であれば当然のお話であるが念のため。