現在は取締役1名のみの株式会社に、新たに代表取締役でない取締役1名を選任して、取締役を2名に増員した場合の登記申請について。なお、定款には「取締役が2名以上ある場合は、取締役の互選により1名を代表取締役に選定する」との規定があるものとする。
この変更登記申請の添付書類は次のとおり。
1.株主総会議事録
2.株主の氏名又は名称,住所及び議決権数等を証する書面(株主リスト)
3.就任承諾書
4.印鑑証明書
就任承諾書及び印鑑証明書は新たに就任する取締役のもの。
取締役1名が増員になったことにより、取締役が2名以上になったため、定款の規定により「取締役の互選により1名を代表取締役に選定する」こととなるが、この代表取締役選定についての互選書(取締役決定書)は登記申請の際には添付不要。
また、代表取締役には変更がない(同じ人がそのまま代表取締役)ので、代表取締役についての登記は不要。つまり、代表取締役がいったん退任し、同日付で就任するというような登記をする必要はない。
したがって、登記すべき事項として記載すべきは、次のとおり新任取締役についての事項のみ。
「役員に関する事項」
「資格」取締役
「氏名」○○○○
「原因年月日」令和○年○月○日就任
上記のとおりで無事に登記完了。今さら疑問を持つような登記ではないかもしれないが、最近取り扱ったので備忘録的に。
付け加えておくと、株主総会議事録中で「代表権を有しない取締役」の選任であることを明記するようにした。このことにより、必要な添付書類が変わってくることはないだろうけれども念のため。
取締役1名の株式会社についての役員変更登記は、毎回のように頭を悩ませてしまう。やる度に過去のことをすっかり忘れているからだともいえるのだけど。
話は変わるが、商業登記についてはオンライン申請ではなく、書面申請をしたうえで登記・供託オンライン申請システムによる登記事項の提出をすることも多い。
これだと書面申請をしているのにもかかわらず、法務局での処理状況が、申請用総合ソフトの処理状況表示画面から確認できるのがありがたい。
ただ、不満があるとすれば、無事に登記が完了したのに、処理状況が「手続終了」でなく「中止/却下」になるときがあることだ。
登記を完了させるときに法務局でどのように操作したかだけの問題なのだろうし、無事に登記が終わっているのに変わりはないのだけど、処理状況が「中止/却下」となっているのを見ると少しドキッとすることがあるので止めていただきたいものだ。