2025年は新規のお問い合わせがなかなか入らず不安な幕開けだったのが、いつのまにかご依頼が入り始め、今年も何とかなりそうな感じになりつつある。といいつつも、連休を前にこの数日は急に暇になってしまったので、久しぶりにこのブログを書こうと思った次第。

さて、商業登記はそれほど多く取り扱っているわけではなく、どうしても苦手意識が抜けないのだけれども、ご依頼があればできる限り対応するとのスタンスでやっている。

今回は、 監査役設置会社の定めの廃止の登記などについて、備忘録的に記してみる。事例は次のような感じ。

取締役1名、監査役1名の株式会社で、代表取締役である取締役が死亡。この際、役員を1名のみにしたいので、現在の監査役である人を取締役にしたい。

上記のような事例で登記手続きをおこない無事に完了しているが、実際に同じような登記をしようとする場合には自己責任でお願いします

監査役を置かない株式会社にするため、臨時株主総会において、まずは定款一部変更の決議をした。

「監査役設置会社の定めの廃止」をするのに加えて、「監査役の監査の範囲を会計に関するものに限定する旨の定款の定めがある」旨が登記されている場合には、「監査の範囲を会計に関するものに限定する旨の定めの廃止」についても決議する必要があるので要注意。

上記の議案が承認可決されるのと同時に、監査役は自動的に退任することになる。よって、監査役について辞任届の提出等は不要。

次に、取締役選任の決議をする。先の決議により、すでに監査役は退任しているので、兼任禁止(会社法335条2項)の問題は生じない。

上記2つの決議により、取締役1名のみの株式会社となる。この変更登記を申請する際の「登記の事由」は次の通り。

・監査役設置会社の定めの廃止
・監査役の監査の範囲を会計に関するものに限定する旨の定めの廃止
・取締役、代表取締役及び監査役の変更

登録免許税は4万円となる。
・監査役設置会社の定めの廃止 3万円
・取締役、代表取締役及び監査役の変更、監査役の監査の範囲を会計に関するものに限定する旨の定めの廃止 1万円

印鑑カードは前任者(死亡した代表取締役)から引き継ぐことができる。

なお、この会社の株式は全て前任者(死亡した代表取締役)が保有していたため、先に遺産分割協議をおこない、後任の取締役となる人が全株式を取得するものとしていた。

こうして後になって書いてみると何も難しいことはないのだけれども、相談を受けてから実際に登記申請をするまでは、かなり頭を悩ませたというのが正直なところ。

取締役会・監査役設置会社の定め廃止の登記は今でもたまにご依頼いただくが、司法書士を長年やっていても商業登記はいつも難しい。会社の登記メインで業務をしている同業者なら簡単なことなのでしょうが、頼れる人のいない一人司法書士の事務所にとっては、どこかに落とし穴がないかと毎回必死なのです。