若手の司法書士数名と話をする機会があった。自分がいつの間にか大先輩のように扱われる立場になっていることに驚くが、それだけ歳を取ったのだから当然のことであり、永遠に若手だと思っているのは自分だけなのだ。

そして、雑談の中でホームページによる集客の話が出た。これから開業しようとする若手司法書士がウェブによる集客で事務所経営をしていくのが可能であるかと。

今から司法書士事務所をはじめようという場合、営業活動のためにウェブサイトやブログを活用しようと考えるのは当然のことであろう。とくに広告宣伝をおこない不特定多数の顧客を集めようと思うならば、ネットを利用するのは必須である。しかし、話を聞くところによるとホームページを作っただけでは、せいぜい月に数件しか問合せがないなんてのも普通の話のようだ。

月に数件問い合わせがあったとしてそれが全て依頼につながるわけではないから、その程度の問い合わせ件数で事務所を運営していくのが不可能なのは当たり前の話。そして、たまに問い合わせがあったとしても積極的に依頼へつなげようという姿勢ではなく、受ける側が及び腰になっているという場合も・・・。

というのも、ホームページを見て問合せしてくる人は費用の話ばかりで、実際の依頼につながらないというような先入観があるため、端っから受け入れ体制が出来ていないというわけだ。問合せがほとんど来ないから経験の蓄積がなく、やっぱりネット経由で依頼を受けるのは心配だし危険かもしれないと思ってしまったり。

そういう気持ちも分からないでは無いが、電話やメールでワンクッションが置ける分だけ、突然の飛び込み客よりはよっぽど安全だとも考えられる。危ないと思ったら相談を受け付けなければ問題ないし、相談をしてしまった場合であっても、依頼には結びつけないようにすれば良いだけのこと。紹介を受けた相談者だったりすると断りづらいこともあるだろうが、ネット経由の見込み客であれば自分が納得できなれば断れば良いだけのこと。

結局、経験の無いことは誰もが不安に思うものだけれども、他の人と同じことをしていたら新規参入者が市場に食い込んでいくのは難しい。自分の場合は、開業してから10数年の間ネットなどを見て問合せしてくる不特定多数の人からの依頼により仕事をしてきたが、危険な目に遭って潰れることもなく今までやってこられている。

だからと言って誰もが同じように出来るわけではないし、開業当時の自分と今の自分とではあまりに経験値が違うというのも事実であるから、同じことをもう一度やろうと思っても難しいとは思う。そんなこともあり、今から開業しようとする人が、ウェブサイトによる集客で食っていこうというのは難しいような気もするが、では何があると聞かれると思いつかない。

でも、10数年前にホームページによる集客だけでやっていこうと考えていた司法書士が皆無であるのは事実だし、何か別のことを考える必要があるのだろう。