月曜日は1週間で最もお問い合わせの多い日。今日も電話によるお問い合わせが多数あったが、ご相談予約に結びつくものは今のところ無し。

電話による新規お問い合わせの中に、夫婦間で不動産の贈与をしたいので契約書を作って欲しいというのがあった。贈与するからには名義変更(所有権移転登記)のご依頼もあるのかと確認すると、費用がかかるから登記はしないとのこと。

たしかに贈与契約は諾成契約であり、契約の当事者の意思表示が合致するだけで成立するのだから、贈与をしても所有権移転登記はおこなわなくても差し支えないわけだ。しかし、夫婦間の贈与で贈与契約書を作成するのみで、登記をしないということにどんな意味があるのだろうか。

なぜそのようなことをするのかと尋ねてみても、「登記をすると費用がかかるから」の一点張り。更に話を聞くと、他の事務所に聞いたら契約書だけの作成も請け負っているとのことだったが、費用について更に別のところに聞いてみようと思ったとのこと。

死因贈与契約や、または、他に何か条件を付けた贈与契約だというならば理解できるが、そのようなことではなく通常の贈与契約を考えているようだ。

自分が納得できないのに贈与契約書の作成だけを請け負うわけにはいかないので、最終的には契約書の作成のみというのは承っていないとお断りしたが、「不動産を贈与するが登記はしない」というのは普通のことなのだろうか?

贈与契約が成立すれば、登記をしなくても所有権は移転するわけだから、贈与税は課税されることになる。実際には、贈与税の申告をする際には登記事項証明書の提出を求められるだろうし、そもそも所有権移転登記をしていないのに贈与税の申告をするなんてことがあるとも思えない。

贈与契約だけをしておいて、登記は後で必要になったときにするということだろうか。でも、そのときになってすんなり登記が出来るかは分からないし、贈与契約のときに税の申告をしていなかったとすれば、登記のときになって課税の問題が生じるかもしれない。

何だか釈然としないお問い合わせであった。仕事の少ない新人司法書士の頃であれば、とにかく事務所にお越しいただいて話を伺ってみるのも良いかもしれない。しかし、開業から10数年も経つと、明らかにご依頼には繋がらないだろうというのが最初の電話で分かってしまう。

したがって、どうしても相談に行きたいという場合は仕方ないとして、電話の段階で理由を付けてやんわりとお断りすることもある。かみ合わない会話を続けて無駄な時間を費やしたり、精神的に無用なストレスを受けないためにも。