消滅時効援用についてのお問い合わせ。最終弁済日から10年以上が経っている借金についての督促状が突然届いた。すぐに連絡するようにと書かれていたのでとりあえず電話をしてしまったとのこと。

とくに債権回収会社からの通知の場合、その会社名については身に覚えがないということもあり、ご自分で電話連絡してしまう方も多いようだ。少なくとも当事務所へのお問い合わせでは、電話をしてしまったと聞かされることが最近多い。

電話をして相手方から説明を受けることで、原債権者から債券譲渡を受けていることなどを理解するわけだ。さらに相手方は、支払いすることを前提にして条件についての話をし始めることになるだろう。

今回のお問い合わせのケースでは、書面により何通りかの支払いプランを送ってくることになっているとのこと。ここまで話をしてしまうと、いったんは消滅時効にかかっていたとしても、時効の利益を放棄したとの主張がなされる心配がある。

電話をして事実関係を確認しただけであればそのような心配は不要だろうが、個々のケースによっては相手方からどのような主張がなされるのかが気になるところ。

債権者(債権回収会社)としても、弁護士や司法書士へ相談に行かれてしまえば消滅時効の援用がなされることになるから、その前に、何とか支払いの確約を得てしまうのが狙いなのだろう。そのためには、督促の通知についても、自分で問合せをしてみようと思わせるような書き方を工夫しているのかもしれない。

もし自分が債権者の立場だったとすれば、通知書(督促状)になにを書くかは徹底的に考えるに違いない。いかにして反応率を上げるかというのは、マーケティングの考え方などに通じるところがあるはず。そんなわけで、当事務所へのお問い合わせの前に、債権者に電話をしてしまっているケースが増えているように感じる。

昔の借金についての通知書(督促状)が届いたら、通知をしてきた会社へ直接連絡をしてしまう前に専門家(弁護士、司法書士)にご相談くださいと声を大にしてお伝えしたいところだが、つい慌てて問合せをしてしまうのかもしれない。そして、少し冷静になってネット検索などをしてみたことで、消滅時効というのがあるのを知り問合せをしてみたというところだろうか。

本日は、相続登記と贈与の登記の新規ご予約も各1件いただいた。午前中はお問い合わせがゼロだったので少し心配になっていたところ、午後になって電話が鳴り出した。開業から10数年経つがいつまでも不安は尽きない。