ここのところ債務整理のご依頼が増えていると前回の記事に書いたばかりだが、その後もご相談・ご依頼が増加傾向にある模様。

任意整理、個人版民事再生に加え、自己破産申立てのご依頼も複数いただいている。たまたま当事務所への債務整理のご相談が増えているのか、もしくは全体的にこれから増加していくのかは分からないが、感覚としては今後も増えていきそうに思う。

なぜ債務整理の依頼が増えるのかといえば、銀行カードローンからの借入で借金を膨らましてしまった人が、返済不能になっていくケースが増えているように感じるからだ。

銀行カードローンによる過剰融資が問題になっていることは最近の新聞報道などでもよく目にするが、実際にも、驚くほど多くの銀行から借り入れをしている例が多い。それほど収入が多いとはいえない会社勤めの人が、短期間のうちに5つの銀行から年収を大きく上回る借金をしているなんてのも珍しくない話であり。

短期間のうちに複数の借入れをしているというのは、改正貸金業法ができる前の消費者金融による融資ではよくあった。1日のうちに複数の消費者金融を回って数社から借入れをしているというようなケースだ。資金繰りに困って、借りられるところから少しずつでも借りようというわけだ。

それが今では、複数の銀行がどんどん貸してくれる状況になっているわけだが、かつての消費者金融との違いは1社当たりの融資額が非常に多いこと。消費者金融の場合は、取引期間が短いうちは極度額50万円くらいまでしか貸さないのが通常だった。

ところが、銀行カードローンでは、100万円、200万円と1社からの借入額が多いことが珍しくない。よって、銀行5社から借入をすれば普通のサラリーマンの年収を超えるような借入がすぐにできてしまうわけだ。

そうなると、任意整理による返済は困難なことが多いから、個人版民事再生、自己破産のいずれかを検討せざるを得ない。

銀行が簡単に多額のお金を貸すのは、グループ会社になっている消費者金融等の保証を受けているからだ。返済が滞ったときには、保証会社から代位弁済を受ければ良いのだから銀行は損をしない。

保証をする消費者金融としても、自身は総量規制に縛られて貸付をし辛い状況にあるので、銀行カードローンの保証で得られる収入(保証料)は貴重な収入源なのであろう。

消費者金融が自分で貸付をしていたときは、できるだけ貸倒にならないよう慎重に融資の可否や貸付額を決定していた。そして、返済が滞れば厳しい取立行為がおこなわれていたから、消費者金融(サラ金)から借りるのは怖いという印象があったはず。もちろん、その頃は消費者金融からお金を借りるような人は、銀行が相手にしてくれるはずも無かった。

それが今では銀行へ行けばどんどんお金を貸してくれる状況になってしまっているのだ。消費者金融からの借金は抵抗があったはずが、銀行が貸してくれるならば大丈夫だと思ってしまう人も多いだろう。

今の銀行カードローンなど、サラ金からの借金と何ら違いが無いと思うのだが、銀行というと無条件に信用してしまう人が多いのも事実。

テレビCMなど見ていても、銀行に退職金の使い道を相談しているようなのを見かける。そんなことしたら身ぐるみ剥がれるだけだろうと思うのだが、一般的にはそんな風な目で見る人はまだまだ少数なのだろう。

いつものごとく何が言いたいのか分からない記事になってしまったが、銀行カードローンによる過剰融資の影響により自己破産などに追い込まれる人が増えていくだろうというお話しでした。

司法書士を10数年やっていると、その時どきで需要の多い業務が移り変わっていくのを実感する。予想通り、銀行カードローンを原因とする債務整理が増えたとしても、数年経つと再び減少するはず。

しかし、その頃にはまた別の業務についての相談が増えていることだろうし、司法書士がインターネットによるマーケティングをおこなおうとするならば、いつでも時代を捉えていくことが求められるのだ。

自分がいつまで付いていけるか心配にはなるが、認知症にでもならない限り、頭を使い続けていれば何とかなるだろう。というか、そうでなくては困るし。