今日は、相続による所有権移転登記、遺贈による所有権移転登記の2件を申請。

遺贈の方は、自筆証書遺言だったので遺言書検認申立、遺言執行者選任申立を経て、ようやく所有権移転登記申請に漕ぎ着けたもの。

法定相続人にあたる人が存在しないため包括遺贈するとの遺言をしていたのだが、法定相続人がいないから検認期日を通知する相手も存在しないし、執行者に選任されたのも受遺者自身なので、受遺者であるご依頼者以外は誰も手続きに関与しない。

つまり、自筆証書遺言が1通あれば遺贈による所有権移転登記はおこなえてしまうのだが、この自筆証書遺言は誰が書いたのかの証明もないのであり、遺言者本人が書いたものであるかを筆跡鑑定するなんて手続きをおこなうこともないのだから考えてみるとすごい話だ。

もちろん、遺言者に法定相続人がいれば、家庭裁判所からの検認期日についての通知により相続人の知れるところになるのだし、今回のように受遺者1人で完結してしまうケースは多くないと思われる。

また、このような方法を悪用できるだけの知識がある一般人はまずいないだろうし、知識があったとしてもターゲットとする不動産を見つけ出すのも困難だし、実際に実行するのは非常にハードルが高いように感じる。

と思いつつGoogle検索してみたら、自筆証書遺言を偽造することにより遺贈を受けたように装うなんて犯罪もあるようだが。なんにせよ、そこまでやるのは完全なる犯罪なのであり、偽造した自筆証書遺言により誰にも気付かれることなく、他人の不動産を奪い取るなんて例はそう多くないのだろう。

などと色々書いていると今回のケースに問題があったかのようだが、全くそんなことはない。自筆証書遺言を書くに至った経緯などを詳細に聴取しているし、何も不安な要素はないわけで。後は登記が無事に完了するのを待つのみ。