個人民事再生手続き申立てのための打合せ。自己破産や民事再生では申立てをするにあたって多数の書類をご準備いただくことになる。なかには1度でキッチリと準備してきてくれる人もいるが、そんなのはごく稀なこと。

差別的な言い方だと感じる方がいたら申し訳ないが、求めている書類は普通に会社勤めしているような社会人であれば全く問題なく用意できるようなものばかり。そんな書類を持ってきてもらうために2度3度と事務所へお越しいただくわけだ。

分からないことなどあれば事前に電話してくれと伝えておいても、いざ打合せのときになってみると「あれはまだです」とか、「銀行に行く暇がなかった」とか、悪びれる様子もなく答える。2年分の預金通帳、それが無ければ銀行へ行って取引明細の発行依頼をしてくる。ただそれだけのことが出来ない依頼者も多い。

あまりキツく言うと萎縮しすぎたり逆ギレしたり、かといって甘い顔をするといつまで経っても準備が進まない。このあたりの面談技法はかなり高度な技術が要求される。想像してみて欲しい、自分よりずっと年上だけれども(実務能力にかなり問題のある)オジさんに適切な指示を与えて、裁判所からの要求に全て応えていかねばならないわけだ。

裁判所からの要求もそこまで必要ですか?と疑問を感じるようなものも多い。このオジさんをなだめすかして、ここまで何とか漕ぎ着けたんだよ、これ以上はどうやったって無理だよ。そもそも、あなたのような若者が司法書士だったとして、ここまでまとめ上げるのは絶対に無理だよと思ってしまうこともしばしば。

そう思って書記官相手にごねてみても、裁判官からの指示なのでとの一点張りでらちが明かないことがほとんど。以前と取り扱いが変わっていることを指摘しても、そんな取り扱いは聞いたことがないとか。こっちは、10数年も前から御庁へ申立しているんだよ。あれ、いつの間にか裁判所に対する愚痴に・・・。

何にせよ、個人の自己破産や民事再生の手続きでは、(実務能力に関して)極めて出来の悪い依頼者と、個々の申立人等の事情など一切お構いなしの裁判所との間に挟まれて、司法書士としてはたいへん苦慮することも多いのであり。

また、ご依頼者自身は頑張ってくれているものの、たとえば、配偶者の協力を得ることは絶対に無理だという場合もある。自己破産するなどと言ったら絶対に離婚されるとか、さらに危険な状況になることもあり得るわけだ。そういう配偶者が何が借金の原因であるかなどお構いない。

そうなれば自己破産させるだけでなく、配偶者を説得する手段や、依頼者の身を守る手立ても考えなければならないのかもしれないが、さすがにそこまでするのは無理。それでも、自分の出来る範囲で最大限の努力をしていかねばならない。

とりとめの無い愚痴のようになってしまったが、クレサラ業務もまたご依頼者の人生に関わる仕事なのであるから、それだけの覚悟を持って臨まねばならない。そういうことを再認識して、また業務に励もうと思う。