今日は遺産分割の調停調書による相続登記を申請。この所有権移転登記の登記原因証明情報は調停調書のみで足り戸籍などは不要。であるはずなのだけど、当事務所へ来られる前に法務局の登記相談に行ってみたところ、戸籍などが必要だといわれたとのこと。しかし、調停調書の記載にも問題が無いようなのでこのまま申請。

午後は2件の新規ご相談があり、どちらも受任の予定。1件は合同会社の設立、もう1件は生前贈与との話だったのだけれども、それよりも遺言書を作成した方が良いのではという話に。本当はご相談予約がもう1件入っていたのだけれども今日になってキャンセルの連絡が入り。

合同会社の設立

当事務所への合同会社設立のご依頼は年に1件あるかどうか。株式会社設立は月1くらいのペースでご依頼があるので、それに比べると合同会社はずいぶんと少ない。

株式会社では無く合同会社の設立を選択するのは、法人であれば何でも良いというような場合が多い。事業をしていくのにあたり、取引先が個人とは契約をしないので法人格が必要だというようなケースが典型的。それならば株式会社じゃ無くても、設立費用が安い合同会社で問題ないというわけだ。

それ以外には、「会社の内部関係について、原則として自由に決定できる」など合同会社の特徴を最大限に生かして・・・、というようなご依頼は残念ながらいただいたことがない。私としても、とくに設立費用を節約したいというような場合を除いては、基本的に株式会社にすることをお勧めしている。

役員の任期が最長10年間であるなど設立後に必要な手続きも合同会社より多いが、会社経営をしていくならそれくらいの手間がかかるのは当然だと思うべきだろう。会社設立そのものが失敗だったと後悔することはあるにしても、株式会社では無く合同会社にすれば良かったと後悔をすることはまず無いはずだし。

それでも、合同会社の定款は公証人による認証が不要で、登録免許税の最低額が6万円なので株式会社と比べるとだいぶ安く設立できるから、一定の需要はあるのだと思う。ただ、会社を作ったら決算の申告が必要だし法人税もかかるので、安易に設立してしまうのはやはりお勧めしないが。

そういえば、合同会社ができる以前は、設立費用を安く抑えるために合資会社を設立するのが流行(?)したことがあった。そういう会社が今どうしているのかは不明だが、順調に発展しているならば株式会社に組織変更しているケースもあるのかもしれない。名の知れている合資会社を、少なくとも私は知らない。

公正証書遺言の作成

前妻との間に子がいるので、自宅不動産を今の妻に生前贈与したいとのご相談。生前贈与をするのももちろん有効ではあるが、それ以外の財産の相続については遺言書を作成するべきだとご説明。

再婚後は、前妻ともその子とも連絡を取っていないとのことなので、このまま相続が開始してしまったら円満に遺産分割がおこなえるのか非常に心配。そこで、公正証証書で遺言書を作っておくことをお勧めした。

同じようなケースで、夫が遺言書を作成することなく亡くなってしまって、遺産分割で苦労をしている例を数多く見ている。今回のご相談のように、夫であるご自身が若いうちからちゃんと対策をしておけば多くの問題は防げるはず。

それなのに、何もせず亡くなっていく人があまりにも多いのを見ると、知識が無かったせいもあるのだろうが、あまりにも責任だと思わざるを得ない。ただ、残された妻が夫の行為を恨んでいるかといえば、ただ仕方の無いことのように捉えている場合が多いようにも感じる。

しかしながら、自分が「前妻との間の子」だったとすれば、用意周到に遺言公正証書を作成することで自分には何も残さないというのは納得しがたいかもしれない。そう考えると、公正証書を作れば絶対大丈夫と強調しすぎるのもいかがなものかと思ってみたり。