年が明け業務も通常運転に戻りつつあり、それを待ち構えていたように多数の電話が入っている。

今日もお問い合わせ電話は多いのだが、ご相談予約には至らないようなものばかり。正月休みの間に考えていたのを、司法書士に電話して聞いてみようと思い立った方が多いのかもしれない。

また、12月半ばに消滅事項援用の内容証明郵便を送った相手方の代理人から電話が入り、債務名義が存在するので時効は成立していないとのこと。依頼者の話では裁判を起こされたことはないとのことだったので、それ以上の調査をすることなしに内容証明を送ったのだが・・・。とりあえず、判決?の写しを送ってもらい、それから支払いに向けた話し合いをすることに。

裁判所から書類が送られてきたのに気付かなかったとか、裁判所からの書類を受け取ったのに忘れてしまったなんてことはあり得ないように思うが、現実にはそんなことも決して少なくない。

家族が受け取ったけど知らせてくれなかったとか、特別到達を受け取らないでいるうちに付郵便による送達がおこなわれたとか、何からの事情があったためご本人は書類を見てもいない場合もあるのだろう。しかし、いかなる事情があるとしても、裁判所から書類が送られてきた事実があるのにそれを覚えていない人が多いのには驚かされる。

ただ、借金の返済を停止してしまうなんてことが起きるのは、その当時、正常な社会生活がおこなえていなかったケースも多い。住所を転々としていたり、引っ越ししたが住民票を移していなかったり、そんな状況の中でいつの間にか裁判を起こされていたというわけであろうか。

さて、債務名義があるならば支払い義務のあることは明らかなのであり、この場合、支払うのを前提に話し合いをすることになるが、その和解条件は相手方によって大きく異なる。

一括払いであれば元金のみでの和解に応じるが、分割払いの場合には利息損害金の全額についての支払いを求められることも多い。厄介なのは、分割払いには一切応じないし、一括であっても利息損害金の支払いを求めてくる債権者もあること。

判決の内容に従うならば、支払日までの利息損害金を付加しての一括を求められるのはやむを得ないところではある。しかし、利息損害金が元本を大きく上回る金額になっているケースも多く、現実問題としてそのような金額の一括払いは不可能であることがほとんどだろう。

元はと言えば、裁判を起こされたのに何らの対応をしなかったために、現在の状況を招いているのだとすれば、債権者が主張することも分からなくは無い。しかし、一切の妥協をしないというならば和解を成立させるのも困難であり、結局は解決に至らないという結果になることもある。

借り主(債務者)の不誠実な態度に端を発していることが多いのだから、上手い解決というのはなかなか難しいのは事実。それでも、最終支払日が10年以上も前の債務について、今になって突然支払いを求められるというのは酷でもあり、依頼を受けた司法書士としても悩ましいところである。