本日(2018/04/20)付の日経新聞に、フリーランス(独立自営業者)の収入などについての記事があった。

フリーランス「満足」7割 年収は200万円未満6割 独法調査
企業に雇用されずに働くフリーランス(独立自営業者)のうち、6割超の人々の年間報酬額が200万円未満であることが独立行政法人の労働政策研究・研修機構の調査で分かった。50万円未満も約4割いる一方、仕事に対して約7割が満足と回答。収入は低い傾向だが、場所や時間に縛られず自由に働ける環境を前向きに受け入れている。

年間報酬額が200万円だと、1ヶ月の報酬額は17万円未満。報酬ということはつまり売上のことだから、ここから経費や税金を支払った残りが手取り収入となるわけだ。

ただし、ここまで低収入だとオフィスなどを借りているはずも無いし、経費といっても通信費と交通費くらいしかかからないような仕事の人が多いのだろう。そして、所得税もかからないくらいの収入であるが、それだって国民健康保険、国民年金は本来支払わねばならない。

これだったら時給1,000円くらいのアルバイトの方がよっぽど稼げるわけだが、上記記事によれば『収入は低い傾向だが、場所や時間に縛られず自由に働ける環境を前向きに受け入れている』とのこと。

そんなことが言えるのは若い単身者だけだろうが、今後収入が伸びていく当てがあるという場合を除けば、長い人生を一体どうやって生きていくつもりなのか他人ごとながら心配になる。いや、このまま貧困に陥って生活保護受給者が増えたりすれば他人ごとともいえないか。

日本政府は、「多様な働き方後押し」と称して、フリーランスとして働くことを推奨していくようだ。2018年2月20日付の日経新聞には次のような記事が出ていた。

フリーランスに最低報酬 政府、労働法で保護検討 多様な働き方後押し
政府は企業に属さない技術者やデザイナーなどいわゆる「フリーランス」を労働法の対象として保護する検討に入った。仕事を発注する企業側との契約内容を明確にし、報酬に関しては業務ごとに最低額を設ける方向だ。不安定な収入を政策で下支えする。公正取引委員会も人材の過剰な囲い込みを防ぐ対応に乗り出しており、多様な働き方を後押しする。

この流れを見ると、今後の日本では「年間報酬額が200万円未満のフリーランス」という働き方が普通になっていくようだ。この収入では職業として成立していない気がするし、半失業状態といっても過言で無いように思えるが、今後に日本においては一般的な働き方となるのだろう。

あまり仕事が無く超低収入でも、フリーランスと名乗っているかぎり失業中では無いわけだ。しかし、これでは結婚して子どもを育てるのは不可能にも思えるが、夫婦ともにフリーランスであれば子育てしながら自宅で仕事をすれば何とかなるのかもしれない。

ところで、司法書士も法人に属していない限りは個人事業主であるわけだが、上記調査の対象であるフリーランスには含まれていない。しかし、司法書士はもっと収入が多いのかといえば、必ずしもそうだとはいえない状況になっている。

弁護士の給料半減! 年収200万~300万も当たり前の悲惨な現実
平均で捉えると、まだ食べていける水準ではありますが、実際には数千万、あるいは億を稼ぐ人もいる業界です。反対に、年収200万円、300万円といった低所得者も少なくないのです。日本最難関の資格を合格してきたエリートとしては、心もとない実態と言えるでしょう。

上記の記事は弁護士についてだが、弁護士の所得の中央値が2006年の1200万円から、2014年には693万円に半減していると。さらには、弁護士であっても『年収200万円、300万円といった低所得者も少なくない』というのだ。いやはや大変な時代である・・・。