今週は相続放棄の新規ご依頼が多数あった。ご依頼は4件だがそれぞれ相続人が複数いるので申立は12件になる予定。そして、4件中の3件については、以前に別の手続きでご依頼があった方(または、その相続人)からのご相談によるもの。

今までも、過去にご依頼くださった方からの再度のご相談はあったが、1週間のうちに3件もあるというのは初めての経験。同じ場所で10数年も司法書士事務所をやってきたからこそでもあるが、かつてのご依頼者もそして自分自身もそれだけ歳を取ったのだと実感させられる。

すでに若手司法書士などと自称できる時が遥かに過ぎているのは当然のことだが、かといって自分がベテランかといえば全くそうは思えず。それでも、自分で事務所を開いてから10数年が経っているのは事実なのであるし、白髪交じりの自分の顔を見れば職業的には今が良い時期なのかなとも思う。

司法書士なんて仕事は若く見られすぎては信頼感が無いし、年を取り過ぎているように見えればそれはそれでこの人大丈夫かと心配される。よって、それなりに経験を重ねたものの、肉体的にも精神的にもまだまだ充実していると思われる今頃が旬なのかと。実際の中身は、かなりくたびれているのだが。

債権者へ相続放棄する旨の通知

話が逸れたが、ご依頼いただいた相続放棄手続きの中に被相続人が消費者金融から借入をしているというのもあり。ちゃんと手続きをすれば心配ないとは伝えたが、それでも心配そうなので取り急ぎ債権者へFAXで通知を送った。

司法書士は家事手続きについての代理権は無いので、あくまでも相続放棄申述受理申立書の作成を請け負った旨を知らせる通知であるが。そのような通知でも送っておけば、少なくとも正規の貸金業者であれば、その後に取立行為がおこなわれることはないはず。

相続の放棄をした者は、その相続に関しては、初めから相続人とならなかったものとみなとされている(民法939条)。そして、これから相続放棄をする旨を司法書士から伝えているのに、その前に取り立てをおこなおうなどという貸金業者はさすがに存在しないだろうということ。

司法書士としての立場であれば債権者に通知を送ることなど何も怖くないし、そもそも通知を送ってからといって手続きの妨害をされるなどという心配は全く無用であるのは当たり前の話。しかし、法律専門家ではない一般の方が被相続人の借金を発見したとすれば、慌てふためいてしまうのも仕方の無いところ。

専門家としてはそういう不安も取り除けるよう親身にご依頼者へ接していく必要がある。ご依頼者の立場を考えれば、相続放棄というのは家族を亡くしたばかりの時期に行わねばならない手続きであり、精神的にも負担が大きいものであるのだから。