昨日は飛び込みでのご相談が2件あった。当事務所は建物の外に看板等を出しておらず、Webサイトにも予約制である旨を明記していることもあり飛び込みでのご来所は滅多にない。

そんなわけで、飛び込みでのご相談が1日に2件というのは、現在の場所に事務所を構えてから10数年にして初めてのこと。そして、2件ともそのままご依頼に至った。1件は抵当権抹消及び賃借権設定仮登記抹消のご依頼、もう1件は親子間の不動産贈与。

不動産贈与に至っては、必要書類を全て持参しており、かつ費用もその場でお支払いいただいた。などと書いていると、地面師か何かに騙された話のように見えるかもしれないが、そんなことはないのでご心配無用。

親子の共有だったマンションの親持分を、子に贈与することによる所有権移転登記のご依頼であり、最悪の場合には自腹で損害賠償できるくらいの評価額。2人はどう見ても親子だし、贈与者である父の運転免許証にも怪しいところはない。

さらには、書類は全て預かり費用を受領したものの、委任状等についてはご自宅に郵送することにしている。これはその場で書類作成する時間が無かったからというのが一番の理由だが、急かされるままに当時中に登記申請してしまうことによるリスクを避ける意味もある。

もう1件の抹消も、抵当権抹だけでなく条件付賃借権設定仮登記も付いていたので、登記2件のご依頼となり司法書士としては有り難いことだ。

飛び込みでのご相談への対応

今のところ実行するつもりはないので想像に過ぎないが、駅から近い場所の路面沿いに事務所を移転して「飛び込みでのご相談も歓迎」とWebサイト上で告知すれば、ご相談件数は激増するだろう。

法務局の周辺などであれば、路面沿いに司法書士事務所があるのも当たり前の風景であるが、そういう司法書士事務所へ相談が殺到しているかといえばそんなことはない。その理由は、法務局はだいたい駅から遠いので、その近くにある司法書士事務所も駅から遠いというのももちろんあるだろう。

しかし、もっと大きな理由は、そういう司法書士事務所がWebサイトで情報発信していたり、飛び込みで相談に行きやすい事務所作りをしている例がほとんど無いからだと考える。つまり、ネットで事前に調べていた司法書士事務所が駅前にあり、かつ、いつでも相談に行って良いのだとしたら、相談者は大幅に増えるはずだといういこと。

ご相談者ではないセールスなどの飛び込みが増える。いきなり来られてしまうと断るのが難しいため、危険な仕事に巻き込まれる可能性が高まる。また、とりあえず全て話を聞くとなると、仕事に繋がらない相談も増えてしまう。などなど、実現させるためには考えるべきことが多すぎるのだが。

さて、本日は飛び込みではなく、電話で問い合わせがあった後、その日のうちにご相談にお越しいただいた。相続登記についての、お見積もりと必要書類のご説明をしたのみだが、ほぼ間違いなくご依頼いただけるものと思う。飛び込みではなく、事前に電話をいただけると、それだけで本当に助かる。

外から見ても司法書士事務所があるとは分からないビル内に事務所を構えており、不動産業者や銀行等との付き合いは一切無いのに事務所経営が成り立っているというのは、たぶん極めて特殊なのだろう。もちろん、事務所経営が成り立っているというのは、家族を養えるくらいの収入があるということであり、たまにやってくる依頼を待ち構えて仙人のような暮らしをしているわけではない。

それが可能となっているのもインターネットを最大限に活用してきたからこそ。こんな書き殴りの文章なども含め、10年以上もの長期に渡りウェブ上に投下してきたコンテンツが大きな実を結んでいるのだ。今から開業する司法書士が資金をかけずに同じような成果を得るのは非常に難しいと思うが、業者に頼まず自分でおこなったインターネットによるマーケティングのみで、ちゃんと食えているという実例は存在するのだ。