不動産の相続登記と併せて、相続による預貯金の解約手続きや、かんぽ生命への死亡保険金の請求や、保険契約の相続手続きのご依頼をいただいた。

かんぽ生命の保険については、終身保険の他に養老保険もある。

終身保険については保険契約者および被保険者が被相続人であり、死亡保険の保険金受取人が決まっているので相続の対象とはならないが、こちらの死亡保険金の請求手続きも任せたいとのこと。

養老保険については、保険契約者が被相続人、被保険者が相続人の1人となっているので、保険契約者が死亡したことにより保険契約は相続の対象となる。

そこで、まずは養老保険の解約返戻金額の証明書の発行請求をすることに。ゆうちょ銀行に対する残高証明書の交付請求は何度かしているので同じようなものかと思ったら、独自の書式の委任状が存在した。

ゆうちょ銀行もそうだが、かんぽ生命についても、委任による代理人に対する委任状はすべて委任者本人の自筆でなければ駄目だとのこと。

注意書きとして「委任者以外の方がこの委任状を記入された場合、ご請求をお受けすることはできません」とはっきり書かれている。

もちろん、最低限でも委任者の氏名は自署するべきだとしても、代理人の住所(事務所所在地)、代理人である司法書士の氏名等も全て、委任者が書かねばならないとうのが理解できない。

相続手続きでは、ご依頼者である相続人も高齢である場合が多いし、そもそもご自分で手続きをするのが大変だから代理人へ依頼しようとしているのである。

さらに問題なのは、かんぽ生命の委任状では手続きの際にお持ちいただく書類として次のように書かれている。

・委任者の印鑑登録証明書の原本又は委任者のみが使用できる公的書類の原本

・委任代理人の公的書類の原本

(公的書類の例)・運転免許証 ・パスポート ・個人番号カード等の顔写真付証明書類

(※)印鑑登録証明書や健康保険被保険者証等の顔写真のない書類の場合、2種類の書類が必要です。また、お持ちいただいた書類については、写しを取らせていただく場合やご提出いただく場合があります。

もはや意味が分からないのだけれども、委任による代理人が手続きをしに行くのに、委任者の運転免許証、パスポート、個人番号カード等の原本を持参しろというのだ。

事前に電話で問い合わせたときも上記のような説明をされたので、委任者の本人確認書類の原本など預かれるはずがないと言ったところ、印鑑証明書でも大丈夫だとのことだったので、それなら問題なく提出できると伝えて電話を切ったのだった。

担当の女性には、委任者の運転免許証など預かれるはずがないと伝えたところ、「お気持ちは分かりますが・・・」と言いつつ説明を変えない。「運転免許証に抵抗がある方は、年金手帳などを・・・」などとも言っているので、いずれにせよ駄目だと言ったところ、印鑑証明書でも大丈夫だというのだ。

どうして印鑑証明書の原本なら持参できるが、運転免許証の原本を預かることはできないのか、という違いすら理解していないのが大問題であるものの、印鑑証明書でも問題ないという話で一件落着のはずだった。

しかしながら、委任状を見てみると「印鑑登録証明書や健康保険被保険者証等の顔写真のない書類の場合、2種類の書類が必要です。」との記載があったわけだ。これだと、印鑑証明書に加えて、健康保険証等の原本が必要であることになってしまう。

とりあえず、印鑑証明書だけを持って行ってみることにするが、どうしても駄目だというなら相続人ご本人に窓口へ行ってもらうしかないだろう。いずれにせよ、本人確認書類の原本など預かれるはずがないので。

ゆうちょ銀行については、委任状を全て委任者本人が自筆しなければならないのは問題だとして、手続き自体は代理人のみでおこなえている。

しかしながら、かんぽ生命の手続きはどうなるやらといったところ。現状では、代理人が手続きをしに行くケース自体が少ないのだろうか。弁護士や司法書士が相続人の代理人として手続きを行く際に、相続人の本人確認書類原本を持参することなどあり得ないと思うのだが。

そうであれば、現実には印鑑証明書だけで手続きができているのか、それとも、結局は相続人が窓口に出向いているのか・・・。結果についてはまた追記する予定です。