今日は自己破産の申立に行ってきた。今年に入って2件目の自己破産申立てであった。

債務整理を取り扱っている司法書士事務所としては決して多い件数では無いだろうが、この数年は自己破産申立ての件数が年に3件とかそんな感じだったので、当事務所としてはやはり自己破産のご相談・ご依頼が増えているはず。

さらに、先週、今週と新たに自己破産申立てを前提とした債務整理のご依頼をいただいている。

1件は、住宅ローンの保証会社より債権譲渡を受けた債権回収会社(サービサー)から、訴訟(譲受債権請求事件)を起こされたというもの。

当初は話し合いをしていたものの、到底支払えるはずの無い分割弁済による和解を求められたため、話し合いを続ける意欲を失っていたところ提訴されたということ。

そもそもは、収入の減少により住宅ローンが支払えなくなったため、自宅を手放すこととなってしまったものの数百万円の債務が残ってしまった。

その支払いが出来なかったために裁判を起こされ自己破産に追い込まれたわけだ。

何だか恐ろしげな街金から借金してしまったような話に思えてしまうが、その住宅ローン借入先はメガバンクの1つである。

再就職により収入が激減したために住宅ローンが支払えなくなり、さらに離婚したために養育費の支払いも負担になっている。それに加えて、自己破産までしなくてはならないと。

ご相談者が何か悪いことをしたとも思えないし、どこかで1つ歯車が狂えば誰にでも起こりえる事態だといえる。

それでも、35年の住宅ローンなんて組んでいなければ、少なくとも自己破産だけは避けられたかもしれない。再就職で収入が減った時点で、家賃の安いところに住み替えれば済んだのだから。

賃貸と違って、持ち家ならローンを支払い終わったら自分のものになるのだから、絶対に持ち家の方が得だなんてことをいう人もいる。

この話自体も決して正しいとは言えないのだけれど、更なる問題は本当に住宅ローンを完済できるのかということ。

頭金を多く入れるとか、購入時より価格が上がるような人気物件で無い限り、途中で売却しようとしても債務が残ってしまうのが普通。

そうなると、結局は住宅を手放しても自己破産するような羽目になってしまうわけだ。

かつては、このようなケースでも出来る範囲で少しずつでも支払っていけば、訴訟を起こされるまでには至らないのが通常だと考えていた。

しかし、今後はこのように銀行→保証会社→サービサーと債権が移転して早々に提訴されるというケースが多くなっていくのかもしれない。

ローンを組んで住宅を購入しようとする人は、何かあった場合でも本当に支払いきることが出来るのか、よく考えてみることを強く勧めたいととあらためて思った次第。

あのメガバンクによる審査が通ったから大丈夫なんてことは全く無いのだ。返せなくなったら最後には自己破産に追い込まれることもあると。今回のケースは決して他人ごととは思えない話であった。

まあ、自分は現在ローンなど組んでいないけど。