2018年2月13日付、朝日新聞デジタルに個人自己破産についての記事が。

最高裁がまとめた2017年の個人の自己破産申立件数(速報値)は、前年比6・4%増の6万8791件で、2年連続で増えた。伸び率は16年(1・2%増)から大幅に拡大した。自己破産は16年から前年比増加に転じ、ペースが上がっている。ここ数年で貸し出しが急増した銀行カードローンの影響もあるとみられる。

個人の自己破産申立件数は2003年の242,849件をピークに減少し続けていたのが、2016年から前年比増加に転じ、2017年にはそのペースが上がっていると。

2017年の個人自己破産申立件数(速報値)は68,791件なので、ピーク時の3割にも満たない件数であるわけだし、当時のような件数に戻ることはあり得ないだろう。

しかし、当時から自己破産申立等の債務整理業務をおこなってきた司法書士の感覚としては、このところ債務整理の相談が増えてきたという実感がある。

記事にも「ここ数年で貸し出しが急増した銀行カードローンの影響もあるとみられる」とあるが、それはたしかに大きな原因であるに違いない。

銀行カードローンの場合、かつての消費者金融からの借入れと比べて1社あたりの借入額が大きいのが特徴。消費者金融の場合には1社50万円が多かったのが、銀行の場合は200万円とか300万円なんてのも当たり前といった感じ。

そのような借入れが複数あるせいで、借入れ開始から2,3年のうちに総債務が1,000万円を超えるようなケースも多く。

それだけ借入れが多額になると、いくら消費者金融からグレーゾーン金利で借りていた頃よりも借入利率が低いとはいっても、任意整理により返済していくのが困難であるのは当然。

銀行による過剰融資の防止策が講じられるようになったとしても、既に自転車操業が限界になりつつある人も相当数いるのでは無いだろうか。

借入総額が1,000万円もあると利息の支払いだけでも精一杯で、1,2年は何とか耐えても結局は自己破産をするしかないと。そうであれば、今後数年は自己破産や民事再生の申立件数がかなり多くなる可能性が高いと考える。

銀行カードローンのCMは、口座が無くても大丈夫とか、窓口に行かなくても大丈夫だとか、簡単に借金がでいることをアピールしすぎていた。相談者の借入内容を見ていると、何でそんなに安易に過剰融資をするのかと不思議だったが、そんなやり方が長く続かないのは当然のこと。

仮想通貨やFXの取引で簡単に儲けようとしたり、お金が足りないと銀行などから簡単に借りようとしたり。そういったことをしてしまう人を責めるのは簡単だけれども、誰もが自分で正しい判断を出来るわけでも無く。

そんなわけで様々な報道を見るにつけ、しばらくは債務整理関連の相談が多くなっていくのだろうという予感。増えて嬉しい業務では無いが、ご依頼があれば淡々とこなしていくしか無いと考える次第。