大げさなタイトルにしてしまったけれども、司法書士など士業の事務所がこれからホームページを作ったとして、Google検索で上位表示されるのは無理だとは言わないけれども、かなり難しいのではないかというお話。

ここでいう上位表示とは、「司法書士 ○○市」、「相続登記 ○○県」のように、司法書士事務所ウェブサイトが上位表示されたいであろうキーワード(司法書士、相続登記など)に地域名(○○県、○○市など)を加えたキーワードで検索した場合についての上位表示のことである。

自分が運営するウェブサイトへ訪れた人が、どのようなキーワードにより検索したのかを正確に把握することは、現在ではほとんど不可能になっていると思われる。

Google Analyticsでは、キーワード(ユーザーがサイトへアクセスするときに使用したすべてのキーワード)を確認できるようになっているものの、現在ではほとんどのキーワードが(not provided)と表示されてしまう。

下のスクリーンショットは当事務所運営サイトのAnalytics画面だが、使用されているキーワードを知ることはほとんど不可能になっていることが分かる。

他には、Google Search Consoleの検索パフォーマンスで「上位のクエリ」を確認することも出来るが、これを見たからといってウェブサイトのSEOに役立てるのは難しいように思う。結果的にどのような検索キーワードが使用されているかは分かっても、そのデータから、どのようなキーワードでSEOをするべきかを導き出すのは難しいだろうし。

そんなわけで、SEOの専門家ではない司法書士やその他の士業が、自分で検索上位を目指しその成果を確認するならば、最初に書いた「司法書士 ○○市」とか「相続登記 ○○市」のようなキーワードを使用するのが現実的であろう(なお、地域名を付加しない、「司法書士」とか「相続登記」などのキーワードでも構わないが、それだと上位表示どころか100位以内に入るのも容易でないだろうから、初心者がおこなうSEOの目標としては相応しくないことが多いはず)。

自分のウェブサイトを訪問し問合せをしてくる人が、実際にどのような検索キーワードを使用しているかは分からないものの、とりあえずの検索上位の目安として上記のようなキーワードを採用するわけだ。

前置きを書いているだけで時間がなくなってきてしまったので、いきなり結論めいたことを書いてしまうが、今から新たにウェブサイトを作成し、「司法書士 ○○市」、「相続登記 ○○県」のようなキーワードで上位表示されるのは非常に難しいように思う。

絶対に不可能だというわけでは無いものの、最近になり新たに開設された司法書士事務所のウェブサイトを観察していると、検索上位どころか10位以内に入るのも容易ではなさそうに見える。また、いったんは検索上位に上がってきたとしても、そのうち下落してしまっているケースが非常に多い。相当なお金を投入し続けてSEO業者などに依頼すれば別なのかもしれないが、それでも検索上位に入り維持するのは難しいのではないだろうか。

お金をかけてSEO業者などに依頼せずとも、自分自身でひたすらページの追加や更新を続けることにより、1年も経てば検索上位に入れるかもしれないが、全然駄目である可能性も決して低くないだろう。

私自身も、新たに実験的に立ち上げたサイトの順位が全然上がって来ないことを実際に経験している。サイトを立ち上げるのが5年前だったならば、半年も頑張って更新を続ければ10位以内に入っていたはずなのが、今から同じやり方をしても同じ結果を得るのは極めて難しいということだ。

当然のことではあるが、5年とかそれ以上前から存在している司法書士関連のサイトはたくさん存在するわけで、新規開設サイトが上位表示されるためには、それらのサイトよりもGoogleに高く評価されなければならない。

そこで、とりあえずホームページを作っておけば少しは問合せが来るだろうという期待も、その地域の状況によっては全く当てが外れるかもしれない。Google検索経由でのお問い合わせは、その地域で検索上位の司法書士事務所に多くが流れていくはずなのであり、検索10番目ではほとんど全く効果がない可能性もある。

ただし、「司法書士 ○○市」では10位以内に入れなくても、他の司法書士が気付いていないキーワードで上位表示されて集客に成功するということもあるだろうから、これからネット集客をはじめるのが無理だとは言わない。しかし、長年にわたって多くの司法書士やSEO業者が必死でSEOをおこなってきたのを、後発サイトが抜いていくは容易でないだろう。

さらに極論を言ってしまうと、短期間で上位表示されるかどうかは運の要素が大きいようにも感じる。運でなく技術で何とかなるのかもしれないが、10年以上もSEOに取り組んできた私でも、今から新規サイトを作ったとして確実に上位表示させるというのはほとんど無理な気もする。

思いつくまま適当なことを書いてきたが、この記事に書いたことを真に受けるとすれば、「これから新規開業しようとする司法書士がネット集客をしようとするのは無理」ということになってしまう。

既存の司法書士事務所によるウェブサイトが少ない地域を選ぶとか、他の司法書士事務所が扱っていない業務についての集客をするならば別として、すでに多数の司法書士事務所によるサイトがある地域で「相続登記の専門サイトで集客しよう」などというのは無謀だというお話しではあるが。

私自身がネット集客で事務所経営をしている既存の司法書士なので、これから新規開業しようとお考えの方はいろいろ情報収集をおこなって、ご自身で判断してみてください。