今年は相続放棄のご依頼件数が激減していることに気付いた。昨年は60件ほどあったのが、今年はまだ20件足らず。

なお、ここでいう件数については、1件のご依頼で数件の相続放棄申立てをするケースもあるから、相続放棄のご依頼が20回あったということではなく、相続放棄の申立を20件したということ。

いずれにしても、2017年は相続放棄を60件ほど申立したのが、2018年は20件しかないということ。今年はまだ3ヶ月弱あるものの、昨年に近い件数になるとは到底思えない。

ちなみに、3,4年ほどさかのぼって確認しても、少なくとも50件くらいは相続放棄の申立てをしていたので、今年のご依頼件数の少なさが際立つ。その理由について、思いつきで書いてみようと思う。

1.ネット上に相続放棄の専門家が増えすぎた

当事務所への相続放棄のご依頼件数が減った最大の原因は、ホームページ等で相続放棄についての情報提供をする司法書士や弁護士が増えたことだろう。いつの間にか、「相続放棄専門」みたいな司法書士事務所がネット上に増えている。

さらに、相続放棄を取り扱っているとする弁護士(法律事務所)が増えているもの目に付く。かつては、弁護士に相談したら「相続放棄なんて簡単だから司法書士に頼みなさい」と言われたというような話をよく聞かれたように思う。

とくに相続開始から3ヶ月以内の相続放棄申述であれば、わざわざ弁護士に頼む必要はまったく無いと言っても過言でないだろうが、時代が変わったといえばそれまでか。

2.SEOによる集客が難しくなった

それにしても去年までの3分の1に減ってしまうというのは極端すぎるようにも思う。そこで、2つ目の原因としては、PPC広告による集客が主流になってしまっているという可能性もあるかもしれない。

Googleで「相続放棄」と検索すると、司法書士によるサイトが2つ、弁護士によるサイトが2つの合計4サイトが、検索結果の一番上に表示される。これは1クリックされるごとにGoogleへ広告費を支払うPPC広告である。

当事務所の場合、相続放棄など特定の業務についてのPPC広告はおこなっておらず、SEOにより上位表示を目指すことで集客を図っているのだが、さらに上にあるPPC広告のサイトばかりが見られているのかもしれない。

もしもそうだとすれば、そろそろ本格的にPPC広告に取り組んでいく必要があるのかもしれない。

3.自分で相続放棄をする人が増えている

相続放棄に関する情報を提供するウェブサイトが増えたことなどにより、自分で相続放棄をする人が増えているのも、当事務所へのご依頼件数が減っている一因かもしれない。

熟慮期間内の申立てなのであれば、ちゃんと自分で調べることの出来る人ならば、専門家に依頼せずとも問題なく手続きが可能であろう。

ただ、相続放棄の申立てなど一生のうちに何度もやることではないし、さらに、相続放棄の申立てはできたとしても、その他の付随する問題についての相談などもあるならば、やはり専門家に依頼するべきだとは思う。

「自分で申立てをするから相談だけしたい」とか、「すでに自分で申立てをしたのだが回答書の書き方だけ相談したい」なんて問合せもたまにあるが、そんなことするより最初からぜんぶ専門家に任せた方がいいのにと思うこともしばしば。

ほんとにちゃんと出来る人は、そんな中途半端な段階で相談してこないのであり、上記のような相談をしてくる人こそ専門家に依頼すべきだと思うのであり。

相続放棄のご依頼件数が減った理由を思いつきで書いてみたが、かなり実態に即しているような気もする。多少の変動はあるだろうから、来年くらいは様子を見てみようと思うが、それで状況に変化がなければまた他の業務を考えるしかないか。