自分で登記したいという方からの相談依頼があった。

登記は自分でするつもりなのだが、登記申請書の書き方や必要書類などについての細かい詰めの部分が分からない。そこで、有料でも構わないから司法書士に相談に乗って欲しいというのだ。

まれに同じようなご相談希望者からのお問い合わせがある。今回の場合には有料でも構わないと言っている分、まだ常識的なご要望であるような気もするが、自分で登記したいという方からのご相談は全てお断りしている。

とくに今の時代はネットで調べれば大体のことは分かる。登記申請書はネットに出てきたものを適当に加工すればすぐにそれっぽいものが出来るし、必要書類だって何が要るのか大体のことはすぐに調べられる。

じゃあ、これを司法書士のところに持っていって1時間5000円の相談でチェックしてもらおうというのは虫の良すぎる話。何となくそれっぽい申請書を作るくらいなら素人だってすぐに出来るが、それをチェックし完璧なものにするのが難しいのだ。当たり前の話だが。

もっと困った例では、登記申請書や遺産分割協議書は自分で作るからチェックだけして欲しい。それならば、費用が安くなるはずだと言われることもある。これなんかは致命的な勘違いなのであるが、ご理解いただけない場合もある。

つまり、司法書士が報酬を取っているのは、申請書に文字を入力するという物理的な作業に関してでは無い、何をどのように書くべきかという知識を提供する対価としてお金をいただいているわけだ。

上記のような登記相談を受け付けている司法書士はほとんどいないはずなので、自分で登記をしたいという方については、法務局の相談窓口に行っていただくしか無いと思うが、結局は諦めて司法書士に依頼したというケースも多いだろう。

司法書士に払う報酬など自分で一から調べる手間に比べたら大したことないと思うのだが、その辺がご理解いただけていない場合もあるのだろう。司法書士なんかに頼んだら法外な費用を取られてしまうかもしれないから自分でやろうと。

そうならないためには信頼できそうな司法書士事務所を選択して、依頼する前にちゃんと見積もりをしてもらえば良いと思うのだが・・・。ただ、そういう判断が出来る人は、無理に自分で登記をしようなどと思わないはずなので、やはり無茶なご要望がたまにあるのは仕方ないのだろう。

ちなみに、住宅ローン完済後の抵当権抹消登記くらいならば自分でやることも可能かもしれない。しかし、司法書士の報酬が12000円とかそんなもんであれば、やっぱり頼んでしまった方が良い気がするわけで。