先日も記事(特例有限会社の役員変更と本店移転登記)にした、役員変更登記と同時にする本店移転の登記が無事に完了した。登記が無事に完了しただけで司法書士が喜んでいるというのも情けない話だが、近年の商業登記は会社の機関構成によって必要書類等が違うこともあり毎回気が抜けない。

多くの司法書士は不動産登記が大多数であって、会社の登記(商業登記)はそれほど数多く取り扱っていないと思われるので、そのような司法書士の全員が商業登記を易々とこなしているとは到底思えないのだがどうなのだろうか。少なくとも年配の司法書士が、1人で必要書類の判断や議事録の作成をおこなうのは難しい場合も多いに違いない。

今回は、取締役1名のみの特例有限会社が新たに取締役1名を選任し、その新任取締役を代表取締役に選定した。そして、取締役を選任したのと同じ臨時株主総会で本店移転も決議。この場合の手続きについて備忘録的に書いてみる。間違ったことは書いていないはずだが、参考にする場合は自己責任でお願いします。

代表取締役選定の議事録には、既存の取締役が会社実印(法務局への届出印)で押印したので、取締役全員の印鑑証明書を添付する必要はない。そして、新任取締役が就任を承諾する旨が記載された議事録には、その取締役が個人実印で押印し印鑑証明書を添付。また、取締役、代表取締役、それぞれの就任を承諾した旨は議事録に記載してあるので就任承諾書は添付不要。

議事録に既存の取締役が押したのと同じ印鑑を、新たに選任された代表取締役が会社実印とするので、旧本店所在地に印鑑届出書を提出する。このとき印鑑カードは前任者から引き継ぐものとしたが、すぐに管轄外に本店移転するため印鑑カードは返却することになるので、実際には登記申請時に印鑑カードも提出。

そして、新本店所在地向けの登記申請書とあわせて印鑑届出書と印鑑カード交付申請書も提出。旧本店所在地に届け出た印鑑と同じものを使用するので、代表取締役個人の印鑑証明書は不要。なお、印鑑届出書は旧本店所在地、新本店所在地分の2通が必要なので念のため。

無事に登記が完了した後になって書いてみると、別に何も難しいことは無いし当たり前な感じではあるが、それは登記が終わったから言えることなのである。

あと、会社設立時に就任した取締役の就任年月日を、登記申請書別紙(登記すべき事項)に記載して申請したのだが、その取締役の就任年月日は登記されていなかった。この辺の知識が曖昧になっていたが、特例有限会社の設立時取締役の就任年月日は管轄外に本店移転した場合であっても、登記事項証明書に記載されることはないようだ。