先日の投稿(消滅時効の援用をしたが債務名義を取られていた場合)の続き。相手方から送って貰った債務名義(確定判決)の写しを確認し、消滅時効が成立していないことを確認。

依頼者の意向を確認したところ、時効で無いならば払う意思はあるが分割にして欲しいとのこと。実際、相手方の株式会社日本保証は元本のみでの和解には応じないと思われるので、利息及び遅延損害金を含めて支払うとなれば分割腹にするしか無さそう。

相手方の代理人(弁護士法人)に分割払いしたい旨を伝えたところ、分割払いの場合には本人の勤務先(名称、所在地、電話番号)を教えてくれとのこと。支払い済みまで年5%の割合の遅延損害金を付加して払うのであれば、それは判決そのままなのだから和解する必要は無いと主張したものの、依頼者(株式会社日本保証)の意向であるとのことで埒が明かない。

そこで、やむなく依頼者に「新たに和解契約を締結するに際して勤務先を通知したとしても、支払いが遅れなければ給与差押え等を受けることは無い」ことを伝えたがやはり不安な様子。結果としては、元金が比較的少額であり遅延損害金も年5%であったため、ご本人の手持ち資金で何とか支払えるとのことで一括払いすることに。

手持ちのお金をすべて支払いに充てるような状況になるようだが、それでも勤務先等を知らせるのは避けたいとの考えは、気持ちとしてはたしかに理解できるところではある。それでも、最終弁済期から10年も経過しているようなケースでは、利息及び遅延損害金を付加した総額だと100万円を超えるような場合も多く、今回のケースのように一括払いが可能なときは多くない。

その場合には、新たに和解契約を締結することは拒否し、あくまでも確定判決にしたがって支払える金額を毎月支払っていくという方法も考えられる。相手方の銀行口座が判明しており振込による支払いが可能な場合に限られるが。

参考までにと思い、今回の件で相手方代理人弁護士法人から送られてきた「受任通知書」を見ると、残念ながら振込先の銀行口座は書かれていなかった。それどころか、元本や現在の残額すらも書かれておらず、「債権回収の委任を受けたので連絡をしてくれ」というようなことが書かれているのみである。

そのような通知にどれだけの効果があるのかと疑問にも感じるが、債権者名の通知はずっと無視していたのが、代理人弁護士から通知が来たので不安になって相談に来たという方が実際問題として多くいる。費用をかけて弁護士に依頼するのは無駄ではないのだと変に納得してしまった次第。

ちなみに弁護士名での通知が送られてきた場合、その弁護士が実在するのかは必ず確認するべきであろう。当初の借入があったことは事実であり、かつ、その弁護士が実在するのであれば架空請求の類いではなかろうから放置すべきではない。

ただし、代理人弁護士法人から通知が送られてきた場合であっても消滅時効援用が可能な場合もあるのだから、慌てて自分で連絡してしまうのは避けた方が良いかもしれない。もちろん、時効の援用などせず、全額を返すというのならば代理人に連絡して支払方法について話し合いをすれば問題無いのだが。