たいした話では無いのだけれども、たまにはこのブログも更新せねばと思いまして。

財産分与による所有権移転登記を、申請後に取り下げたとか、錯誤により抹消したとか、そういう難しい話では無く。財産分与による所有権移転登記のご依頼を受けたものの、登記をする前に依頼自体が取りやめになったという話。

ご相談予約は夫から。初回相談は1人で来ていただければ大丈夫だと伝えたのだがご夫婦で来所。とくに険悪そうな雰囲気には見えないものの、すぐに離婚するので不動産の名義を妻に変更してくれとのこと。

後日、必要な添付書類を全てお預かりし、登記原因証明情報及び委任状を依頼者宅に送付。そして、離婚届提出後に(元)夫が書類を持参することになっていたのが、妻より電話が入り依頼を取りやめにしたいと言う。

詳しい事情は聞かなかったものの、離婚自体を取りやめたということなのであろう。私には関係ない夫婦の話ではあるが、離婚を回避できたのならめでたいこと。結局、書類返却時に1回分の相談料を受領して処理完了。

今回の件はそれで全く問題ないのだけれども、考えようによっては夫婦の痴話喧嘩に巻き込まれてしまったという格好になるのだろうか。こっちは時間を取って相談に乗り、登記申請の準備も済ませていたというのに。

まあ、そういうことをしているうちに冷静に戻って離婚を回避できたのかもしれないから、そういう意味では司法書士としてお役に立てたのかもしれない。全く関係ないのかもしれないけれども、そう思って納得するようにしよう。

ところで、財産分与による所有権移転登記は、わりと多いご依頼の一つである。

離婚から時間が経っての財産分与というのは少なく、ほとんどが離婚届を出した直後に財産分与による所有権移転登記をしている。よって、今回のご依頼のように離婚届を提出する前に、必要書類の準備を済ませ、委任状等への署名押印もおこなっておく場合が多い。

そして、離婚届を出したことが確認できたらすぐに登記申請をおこなうというわけだ。これならば、離婚届を出してしまったら相手方が手続きに協力してくれなくなったなんて事態を防ぐことができるので安心。

というように考えていたが、今回のように離婚が取りやめになると、せっかく段取りを組んで登記の準備をしていたのが無駄になることに気付かされた。司法書士に財産分与による登記の依頼をした後に、離婚を取りやめるケースなど滅多にないだろうし、今後もやり方を変えるつもりはないけれども、何だか盲点を突かれたような気分。