本日は、久しぶりに過払い金請求のご依頼をいただいた。当事務所では2018年に入ってからも、過払い金返還請求についてのご相談・ご依頼は皆無では無いものの、忘れた頃になってご依頼があるといるというような感覚になっていた。

改正貸金業法の施行は平成22年6月18日であるが、それよりだいぶ前からグレーゾーン金利による貸付を止めていた貸金業者も多いので、新たな過払い金が発生しなくなってからそろそろ10年が経つといったところか。

そして、グレーゾーン金利による取引を5年くらいしていなければ、それなりの過払い金が発生することはない。したがって、今から15年前くらい前には借入を開始していたことが、現在でも過払い金請求の対象となる前提条件となるわけだ。

さらには、完済から10年が経過してしまえば過払金返還請求権は時効により消滅してしまう。よって、今から15年前くらい前には借入を開始しており、かつ、完済してからは10年が経過していない(今も取引中のときも含む)場合のみが、現在の過払金返還請求の対象であるわけだ。

なお、借入開始の時期がもっと遅い場合であっても、グレーゾーン金利による取引が存在するならば、多少であっても過払い金が発生することにはなる。しかし、少なくとも3,4年程度は高金利での取引が無ければ、業務として成り立つ程の報酬は得られないはず。

そのため、現在でも過払金返還請求をすることによって、数十万もの過払い金を受け取れるような人はかなり限られるだろう。そして、ごく小さくなってしまったパイを、テレビCMなどで宣伝している弁護士法人や司法書士法人が奪い合っているのだから、細々とウェブサイトを運営しているだけの零細司法書士事務所へ過払い金請求の相談が来ることなど殆ど無くなっているわけだ。

他人ごとながら今になっても過払い金請求のテレビCMなどしても、全く割に合わないような気もするのだけれど、実はまだまだ依頼が来たりするものなのだろうか。そう思って、ちょっと前に業務停止処分を受けた過払い金請求のCMで有名な弁護士法人のウェブサイトを見てみると、今でも大勢の弁護士が所属しているようだ。

過払い金請求だけでなく、債務整理(任意整理、自己破産、民事再生)もやっているのだろうけれど、あんなに大勢の弁護士を養える程の業務量が今後もあるとは思えない。過払い金請求については、年を追うごとにどんどん減少していって、数年後には殆どゼロになることは間違いないのだし。

当事務所でも、過払い金請求のご依頼がそれなりに多い時代もあったが、今ではそれ以外の業務だけでなんとか事務所経営が成り立つようになっている。しかしそれは、自分とパートだけでやっているような零細司法書士事務所だからなのであり、大人数を雇用しているような弁護士法人や司法書士法人の経営が成り立つような収益を上げるのは非常に大変だろう。

司法書士の場合でいえば、ネットによる集客に力を入れている事務所については、相続や遺産承継業務をメインにしているところが多いだろう。いつの間にか相続放棄専門なんて看板を掲げているところも多数あるようで、本当かよと思ったりもすることもあるがその話はさて置き。

かつての過払いバブルの頃と比べても、ウェブサイトによる集客をおこなおうとしている司法書士事務所の数は桁違いに増えていると感じる。当時はまだ、過払い金請求を掲げたウェブサイトを作って、なんとなくSEO対策をする程度で、それなりに依頼は入っていた時代だった。

しかし、今では相続放棄相続登記のウェブサイトを作っても、ちょっとやそっとのことじゃ全く集客できないなんて現実もあると思われる。ネットで集客できないなら、それ以外の集客方法は何があるのか。さらには、一周回ってやっぱり銀行や不動産業者へ営業に行くべきなのか。

司法書士事務所がこれから売上を増やしていくには何をするべきか。非常に難しい時代に入っていると思われます。自分自身も含めて。