今日はたいしたことも出来ないままに1日が過ぎてしまった。午後はほとんど外出していたのだが、戻ってみたら月曜日だってのに新規のお問い合わせ電話は入っていないとのこと。結局、今日の電話によるご新規お問い合わせは、午前中に入った質問電話だけか。後は、土日の間にご相談メール2件に返信。

自筆証書遺言による「認知する」旨の遺言を残して父親が死亡。依頼者は認知された子の母親。

その母親を候補者として遺言執行者選任の申立てをしていたのが、家庭裁判所書記官より問合せの電話が入った。問い合わせ内容は、遺言執行者選任申立ての目的について。遺言執行者選任の申立てをするのは、特定財産の遺贈を受けているような場合が通常であり、今回のようなケースは見たことが無いとのこと。

遺言書には「子を認知し遺産を相続させる」というような文言のみで、具体的に何を相続させるかは書いていないため、そのような疑問が生じたのだろう。そこで、遺言認知の場合、遺言執行者が認知届を出すとの規定があるため、今回の申立てで念頭に置いているのはあくまでも認知届の提出のみであるとお答えした。

あくまでも想像に過ぎないが、遺言認知をするときは公正証書遺言によるのが通常であり、当然に遺言執行者の指定もおこなっているのだろう。加えて、自筆証書遺言で認知する旨の遺言をして、その遺言書が民法の要件を備えているケースは非常にまれなように思われる。

よって、今回のような遺言執行者選任申立てが家庭裁判所へおこなわれるのも非常にまれなことであると。もちろん、私自身も初めてのケースだと書記官にはお伝えした。問合せは上記内容のみだったので、このまま執行者選任の審判がなされるのであろうか。

そもそも、遺言者の法定相続人ではない依頼者を、遺言書の保管者であることを申立て権限として、遺言書検認の申立てをおこなったのも初めてのケース。そして、検認期日に相続人が出頭することもなく無事に遺言書検認が終了。

そこで、依頼者を遺言執行者候補者として申立てをおこなったわけだが、これが認められれば司法書士の業務は終了。後は、遺言執行者が市町村への届出をするのみで認知の手続きが完了することになる。ちなみに、手続き開始前に依頼者が遺言書を持参して役所へ確認をしに行っているので認知届は問題なく受理されるはず。

自筆証書遺言で認知が出来てしまうとなれば悪用も出来てしまう。実際には遺言などしていないのに遺言執行者が勝手に認知届を出してしまうなんてことも可能であり。そのような場合には別に裁判で争うことになるのだろう。もちろん、今回のご依頼に関しては、本物の遺言書であるとの確信のもとに手続きを進めたのは当然であるが。

(追記)ご依頼者から連絡があり、申立てをした通りに認知された子の母が遺言執行者が選任されたとのこと。これで司法書士の仕事は終了だが、後は区役所での手続きが済んだらどんな感じだったか教えてくださる予定。