債務整理、とくに自己破産についてのご相談・ご依頼が増えているというのは、このブログでも何度か書いているところだが、生活保護受給中の方からの債務整理のご相談も多くなっていると感じる。

生活保護受給申請の場などに立ち会ったことは無いので実際のところはよく分からないが、生活保護を受給するに際して借金がある場合には、保護費により返済してはならないと指導されていると思われる。保護費による返済を出来ないとなれば、債務整理の手段として自己破産を選択するしか無い。

生活保護受給者から自己破産申立の相談があった場合、法テラスの民事法律扶助を利用することにしている。民事法律扶助により司法書士の書類作成報酬等の立替払いを受けられるわけだが、法テラスのウェブサイトには次のように書かれている。

被援助者が生活保護を受給している場合は、立替金の償還について、援助終結まで猶予されることがあります。また、援助終結後において、生活保護を受給している場合には、立替金の全部または一部の償還を免除されることがあります。

立替金の償還が「援助終結まで猶予されることがある」とか、「立替金の全部または一部の償還を免除されることがある」と書かれているが、生活保護受給者の自己破産申立では当然に免除されているものと思われる。

つまり、法テラスの民事法律扶助を利用して生活保護受給者が自己破産申立をした場合、本人の費用負担は一切無いということになるのだ。そのため、借金が少額であったとしても自己破産申立を躊躇する理由は無いといえる。

ところで、依頼を受ける側としては、自己破産申立書作成の書類作成援助の報酬は86,400円(他に実費として17,000円)なので、当事務所の報酬基準よりは大幅に低くなってしまう。けれども、生活保護を受給されている方については、全件について民事法律扶助を利用するとの方針にしている。

同じ業務なのに司法書士報酬が半分になってしまうのでは、事務所経営の点から考えると望ましいことでは無い。しかしながら、自己破産を受給されている方の場合には保有している資産も債権者の数も少ないのがが通常だから、申立書類等の作成が比較的簡単であることが多い。

よって、司法書士報酬は半分でも、作業にかかる時間も半分程度で済む場合があるから、事務所経営の点から考えて決して悪くないともいえる。もちろん、生活保護受給者の自己破産申立がいつでも簡単に済むということでは無いし、その時どきで労力が異なるのは当然だが。

ところで、法律扶助による立替金の出所は税金だと考えると、税金により支払ってもらった報酬で自己破産申立をするのはいかがなものかと思わないでも無いが、本人の救済のためには他に手段が無いというのが現状であろう。

また、精神面の問題により就労が困難になっている方の場合、借金問題が精神面に大きな影響を及ぼしていることも多い。そんなときは、自己破産申立をして借金問題が解決することにより、精神面の問題も一気に解決するなんてこともある。