当事務所でも過払金返還請求のご依頼を多数いただいていた時期もあったが、過払い金請求のご相談が主要業務の1つとなっていたのはもう随分と昔の話。今年になってからも何件か過払い金請求のご相談はあったが、当事務所への過払い金請求のご依頼はそろそろ本当に終結かと思っているこの頃。

それなのに、今でもテレビやラジオで過払い金請求の相談についての広告宣伝を行っている弁護士法人や司法書士法人があるが、それに見合った過払い金請求の相談や依頼は実際に入っているのだろうか。当事務所のような零細司法書士事務所への依頼は全くといっていいほど無くなり、そういう大手の弁護士法人や司法書士法人が依頼者を総取りするような状況になっているのかもしれないが、それにしたってそんなに多くの過払い金請求業務が存在するとは思えない。

過払い請求業務の多い少ないとは直接関係ないが、テレビCMをやっていた司法書士法人アディーレ法律事務所が2ヶ月間の業務停止処分を受けた。今回の業務停止処分は、弁護士業務そのものについての処分ではなく、事実と異なる宣伝を繰り返したことに対する処分だとのことである。

具体的には、約1カ月間ごとの期間限定で過払い金返還請求の着手金を無料または割引にするなどとするキャンペーンを繰り返しながら、実際には5年近くサービスを続けていたことが景品表示法違反(有利誤認)に当たるとされたようだが、このようなことが行われたのは顧客獲得競争が激化していたことが原因だとも考えられる。限られた数しか存在しない過払い金請求の業務を多くの弁護士や司法書士法人が奪い合ったことで、事実と異なる宣伝を繰り返すような事態が生じたというわけだ。

アディーレ法律事務所への依頼者がどれだけいるのかは知らないが、業務停止処分を受けた時点で全ての委任契約を解除しなければならないので、数多くの業務が他の弁護士や司法書のところに流れることになるのだろう。ただし、現時点では当事務所にはアディーレ法律事務所に関連するご相談などは全く来ていない。そもそも、アディーレ法律事務所のような大きなところに依頼する人は、また弁護士を探そうとするときも大手を選ぶのかもしれないが。

ところで、過払い金請求の相談についての広告宣伝といえば、ラジオCMをやっている司法書士法人が今でもいくつか存在する。最も派手にやっていた新宿の事務所は2つに分裂したりして何だかよく分からない状況になっているようだが、そことは別の司法書士法人のラジオCMを最近よく耳にする。

過払い金請求業務そのものが集結しつつある今になって、司法書士法人が過払い金請求相談のラジオCMをやって採算が合うのか不思議に感じてしまうが、商売上手の大先生方ならばまだまだ儲かっているのだろうか。司法書士には業務範囲に制限があるのだから、派手にCMをやって過払い金請求の相談者を集めるようなやり方はそもそも無理があるようにも思うし。

まあ、何にせよ当事務所にとってはラジオCMで顧客を集めるなんて手法は遠い世界の話なのであるが。もしも、そのような手法で数多くのご相談者を集められるとしても、自分の目が全く届かないところで行われている業務の責任を負わなければならないなんて事態には精神的に絶対に耐えられない。そんなの普通の会社も同じだというかもしれないが、だから私は事務所を大きくできなかったのだろう。これからも今と同じ規模で良いから、細々と長く続けていきたいものだ。