結構な頻度で「電話無料相談をお願いします」という電話がかかってくる。当事務所ではホームページにフリーダイヤルの電話番号を載せているので、通話料もこちら持ちで電話無料相談をして欲しいというわけだ。

事務所へお越しいただいてのご依頼を前提とするご相談は無料で承っているが、「電話やメールのみによる無料相談は原則として承っていない」とホームページにも書いている。

しかし、「無料」とか「お気軽にご相談ください」とか書いてあるのを都合良く解釈して、「無料電話相談が出来る」と考えてしまう人が多いのかもしれない。

無料電話相談は承っていないとお伝えするとすぐにご理解いただける場合もあるが、「無料と書いてあった」とか、「簡単なことだから答えてくれ」とか言われることも多い。

そういう方は番号非通知で電話をかけてくることも多く、全く自分の情報は伝えずに無料電話相談で答えだけ聞きたいというのはいかがなものかと思ってしまう。

当たり前のように「電話無料相談」をしたいとの電話がかかってくるので、他の司法書士事務所では電話無料相談を受け付けているのかと思い、「電話無料相談 司法書士」とのキーワードでGoogle検索してみた。

すると、1位に表示されたのは東京司法書士会による無料相談のページであった。電話による無料法律相談(司法書士ホットライン)として次のように書かれている。

司法書士ホットラインは、一般市民の方々を対象に、おおむね15分程度の時間内で、一般的な法律知識の提供や問題解決のための法的なアドバイスを行う相談です。

電話で受け付けられるのは、たしかにこの程度の相談だろう。個別具体的な事例についての無料電話相談を専門家として受け付けるのはやはり難しいはず。

2位以下に表示されるのも、各都道府県の司法書士会による無料相談のページが続いている。当然ながら電話無料相談を大々的にうたっているような司法書士事務所のページは見当たらない。

なお、この例外としては過払い金請求についての相談であり、「過払い金 電話無料相談」で検索すると弁護士や司法書士のウェブサイトがいっぱい表示される。

これは、電話無料相談に電話してきた人から、過払い金請求の依頼を受けることを目的としているのであり、その他の業務についての「電話無料相談」とは意味が全く違う。

話は戻るが、やはり日本全国からかかってくる電話無料相談に、無制限で応じている弁護士や司法書士などまず存在しないだろう。

たとえば、「電話無料相談を受けるが、回答については一切の責任を負わない」という条件であれば、無料電話相談に応じてもいいと考える司法書士もいるかもしれない。

しかし、相談者からすれば、「回答には一切の責任を負わない」という条件で相談に乗ってもらっても意味が無い。それでもいいから聞きたいという人もいるだろうが、実際に間違った答えをしてしまったらクレームに繋がることもあるだろう。

結局、相談を受ける司法書士の側は名前を出しているのだから、回答に責任を負わないということはあり得ないわけである。そんなリスクを背負って電話無料相談を受ける法律専門家はいないと考えるのが普通だろう。

こんなことを書きながら、「メール無料相談 司法書士」で検索してみると司法書士事務所のページがたくさん表示された。

なんとメールによる無料相談を受け付けている司法書士事務所は数多くあるようだ。更には、無料電話相談を受けていると書いているのも多く見かける。

これは前言撤回しなければならない、無料電話相談を受け付けている司法書士事務所は数多くあるのだ。

ただ、言い訳をさせていただくとすると、実際に数多くの電話による問い合わせがあるような司法書士事務所で、電話無料相談を受け付けている例はまず存在しないはずである。

当事務所では複数の新規お問い合わせ電話を毎日のようにいただいている。その上で、「電話無料相談受け付けています!」などとホームページに書いてしまったら、業務に支障をきたすのは間違いないだろう。

ちゃんと相談に乗って正式に回答をしようとするならば、1本の電話で30分くらいかかるのは当然だろう。いきなりかかってきた電話への応答に30分もかけていては他の仕事が滞ってしまう。

さらに、1日に何本も無料相談希望の電話がかかってきたら、それに対応し続けるのは困難だろう。

そういえば当事務所でもかつては無料相談の敷居を今よりもだいぶ低くしていた。たとえば、メールによる無料相談とか、無料出張相談を承るとしていたこともある。

しかし、それはご相談件数が少ないから成り立つのであり、呼ばれるがままに無料出張相談などしていたら仕事にならない。

逆にいえば、仕事が無い新規開業者の方々などは、無料電話相談、無料メール相談、無料出張相談などを積極的に引き受けてみたらいいかもしれない。

それにより接客や相談のスキルも身につくし、仕事が増えて対応が困難になったら無料相談は止めればいい。

いろいろ書いているけれども、連休直前というせいもあるのだろうが、今週は当事務所でも新規お問い合わせが非常に少ない。休み前というのはいつもこんな感じなので特に心配もしていないし、連休は暦通りにしっかりと休みたい。