4月1日から相続登記が義務化されることで、当事務所への相続登記のご相談やご依頼が明らかに増加している。

日司連が今年1月に実施した調査によれば、相続登記義務化そのものを知らない人の比率が51.3%、また、4月より前に開始している相続も義務化の対象であることを知らない人の比率は84.8%であるとのこと。

当事務所へは3月中に相続登記をしなければならないのかと焦って相談に来られる方もいたが、そのような方は既に開始している相続についても義務化の対象になるのを理解していたということだろうか。

仮にそうだったとしても、4月1日から3年間の猶予期間があることはご存じないということになる。いずれにしても、相続登記の義務化についてまだ知らない人も多いし、知っていたとしても正確に理解している人はごく少数なのだろう。

そして、過料についてやたらと強調しているものも見かけるが、実際には、過料の通知をする前に登記官から催告がおこなわれるので、それから相続登記をするなどの対応をすれば問題ないことにもなる。

さらにいえば、登記官による催告が行われるのも、「義務に違反したと認められる者があることを職務上知ったときに限り」とされており、そして、この職務上知る場合が極めて限定されているので、実際に催告が行われることがあるのかすら不明。よって、本当のところは3年の期限はあまり気にする必要はないのかもしれない。

ただし、最終的には必ず相続登記をすべきなのは事実であるから、司法書士として早めの相続登記を推奨していくのは何も間違っていないわけであり。もちろん、「過料が科せられるから早く相続登記しましょう!」みたいな宣伝はすべきでないと思うが。

少し話は変わるが、義務化されるのをきっかけに司法書士に相談に来られる場合では、過去にも相続登記を進めようと試みたものの、何らかの事情により頓挫しているというケースも多いように感じる。

いったんは諦めていたものの、相続登記が義務化されるとの話を聞いて、何とかしなければと思い司法書士に相談することにしたということである。

このような場合、時間の経過により手続きが簡単に進むようになったという例は少なく、たとえ司法書士に依頼してもなかなか手続きが先に進まない可能性も高い。

また、相続登記が法律で義務化されたから仕方なく手続きしようとしているのに、高額な司法書士費用がかかるのが納得いかないという方もいるだろう。

これは司法書士の側の問題ではないから何ともしがたいのであるが、適切な報酬設定により誠実に業務をおこなっていくしかない。

いろいろと考えていくべき点はあるとしても、司法書士事務所にとって大きなビジネスチャンスになり得るのも事実なのだが、不適切な広告宣伝が増えたり、過当な価格競争が始まらないことを願うばかりである。

まとまりのない話になってしまったが今日はこのへんで。またちゃんと書きたいと思います。