所有権登記名義人氏名変更の登記で補正になるという失態を犯してしまった。こんな話は匿名ブログでなければ書けないが、自分への戒めの意味も込めて書いておこう。

登記簿上の氏が離婚前のままになっているのを、何となく気分が悪いし変更しておきましょうかということで、所有権登記名義人氏名変更の登記のみを申請することに。

登記原因証明情報として、変更前後の氏が分かる戸籍謄本を添付して登記申請したところ補正のご連絡。添付情報について、申請人の「本籍の記載がある住民票」が不足しているとのこと。「本籍」は登記事項ではないから、「氏名変更」の登記の場合、登記名義人との同一性の証明のために戸籍と併せて本籍地入りの住民票が必要であるわけだ。

氏名変更の登記だけを単独ですることはあまり無いせいもありうっかりしていたが、開業したばかりで経験の少ない司法書士のような凡ミスでお恥ずかしい限り。ご本人に連絡をし、こちらで住民票を取ることについての承諾を得てから市役所で住民票を取得、その足で本籍地入りの住民票をお持ちして補正完了。

そんなわけで1つのミスで結構なタイムロスとなってしまった。まあ、実際に市役所と法務局へ行ってきたのは補助者なのだが、何にせよ無駄な時間を費やしたわけだ。どんなに簡単に思える登記であっても、普段やっていないものについては添付書類の確認を怠らないようにすべきだと、あらためて実感。

なお、法務局Webサイトの登記名義人住所・氏名変更登記申請書(氏名変更の場合)の記載例のページで、所有権登記名義人氏名変更の登記原因証明情報について次のとおり解説されている。

登記原因証明情報として,戸籍全部(個人)事項証明書(戸籍謄抄本),本籍の記載のある住民票の写し等を添付します。登記記録上の氏名(旧氏名),現在の氏名及び氏名の変更の日が記載されている必要があります。戸籍全部(個人)事項証明書(戸籍謄抄本)に変更前の氏名が記載されていない場合には,変更の記載のある除籍全部(個人)事項証明書(除籍謄抄本)を併せて添付してください。

法務局Webサイトでここまでくわしく解説されていると、1度でも自分で不動産登記をやった人であれば、登記名義人住所・氏名変更登記くらいならば十分に自分でもできるのではないか。何だか司法書士の仕事が奪われていくようにも感じるが、私自身が司法書士として業務をおこなうときにも、今ではネット検索で情報を得るのは当たり前のことになり、それによって調査にかかる時間が短縮できているのも事実。

大体の事例について、ネットで検索すればどこかの司法書士が書いている文章が見つかる。そのまま鵜呑みにするのは危険だとしても、それを参考にしつつ検討を加えれば、一から書籍などで調べるのに比べて大幅に時間が短縮できる可能性が高い。私が司法書士事務所で修行した頃などは、事務所内のパソコンからインターネットを利用することすらできなかったのだからまさに隔世の感である。