マンション(敷地権付き区分建物)の贈与による所有権移転登記のご依頼をいただいた。贈与の登記はよくあるご相談・ご依頼の一つであるが、敷地権が「地上権」であるのがいつもと違うところ。

敷地権付き区分建物の所有権移転登記で、敷地権が地上権だったのは記憶にない。当事務所が司法書士として不動産登記の件数が多い方ではないからかもしれないが、それにしたって敷地権が地上権のマンション(敷地権付き区分建物)は少数派だろう。

そんなわけで、恥ずかしながら所有権移転登記をする際の登録免許税がどうなるのかを即答できなかったので、すぐに調べてみると地上権については税率が1000分の10であった(所有権の場合には1000分の20)。

ここからは余談であるが、次のとおり登録免許税法の別表第1で「地上権の移転」の登記の課税標準及び税率が規定されている。

登録免許税法 別表第一
一 不動産の登記(不動産の信託の登記を含む。)
 (三) 地上権、永小作権、賃借権又は採石権の設定、転貸又は移転の登記
   ニ その他の原因による移転の登記
     課税標準:不動産の価額 税率:千分の十

登録免許税法は一般の方がいきなり条文を見ても全く意味が分からないだろうが、課税標準及び税率について登録免許税法9条で次のように規定されている。

登録免許税法第9条 登録免許税の課税標準及び税率は、この法律に別段の定めがある場合を除くほか、登記等の区分に応じ、別表第一の課税標準欄に掲げる金額又は数量及び同表の税率欄に掲げる割合又は金額による。

この規定にしたがい、別表第一の中から「地上権の移転の登記」→「その他の原因(贈与はこれに該当)による移転の登記」は税率1000分の10であると分かるわけだ。したがって、建物については所有権移転であるから税率が1000分の20、敷地については地上権移転なので1000分の10で計算するということになる。

それなりに長く司法書士をやっているのにこんなことも知らないのは情けない話だが、実際には知っていたが忘れたという方が正しい表現である。受験時代にいくら憶えても実務で使わない知識は時期に忘れてしまうのである。

ところで、今回は贈与による所有権移転登記の前に、所有権登記名義人住所変更の登記も必要であったが、この登録免許税は2,000円(建物、敷地各1)ということになる。普段しない登記だとこんなことでも頭を悩ませてしまったり。