
今年の秋頃は数ヶ月にわたり新規のご依頼が激減し、このままでは一体どうなることかと思っていたが、いつの間にか何となく回復して一安心なこの頃。ネット集客のみで営業をしていると、20年以上も司法書士事務所を維持していても、売上に波があるのが難しいところ。
さて、今回の記事は「取締役1名のみの会社の本店移転登記を申請する際、取締役決定書の添付は不要であるのか」について。
たとえ、取締役が1名のみであっても、本店の移転先および移転日を決定したことについての「取締役決定書」は作成するべきである。そして、取締役決定書を作成したならば、登記申請の際にも添付することで何ら問題はないだろう。
しかし、私自身はこれまで取締役1名のみの会社の本店移転登記では取締役決定書を添付していなかった。委任状に「令和 年 月 日、○○県○○市・・・に当会社の本店を移転したので、その登記の申請に関する一切の件」というような記載があれば取締役決定書の添付は不要であると判断していたからだ。
『特例有限会社の登記手続(日本法令)』には、定款による本店所在地の定めが最小行政区画までであり、本店移転にあたって定款変更が不要な場合について、「取締役を1名しか置いていない会社では、これらの事項は、取締役がその単独の意思で決めることになります」との記述がある。そして、その根拠を登記研究244号の質疑応答としている。
そのうえで、添付書類の解説には「取締役が1名の会社では、取締役決定書は添付しなくてよいことになります」というように書かれている。
なお、上記の登記研究には「有限会社の本店移転申請書の添付書面について」との表題の質疑応答が掲載されている。そして、取締役1名の有限会社について、「取締役が単独で本店所在地を決定した何らかの書面が必要でしょうか」との問いに対して、不要であるとの回答がされている。
上記の『特例有限会社の登記手続』は初版発行が平成18年であり既に絶版となっているようだが、これまでその記載を信じて、取締役1名のみの会社(特例有限会社、株式会社)の本店移転登記を多数行ってきた。そして、取締役決定書の添付を求められたことは一度もなかったように記憶している。
ところが、少し前に登記申請をした際には、取締役決定書の添付を求められた。本人申請の場合であれば添付は不要であるとしても、代理人による申請の場合には、取締役により決定した事実を証する書面の添付が必要だというのである。
今回は千葉地方法務局へ申請したケースであるが、3年ほど前に千葉地方法務局へ申請したときは取締役決定書をしなかったが何ごともなく登記は完了している。また、今年も東京法務局城北出張へ申請したが同様に補正の連絡などはなかった。
結論としては、どちらが正しいのかは何ともいえないものの、古い質疑応答を根拠にした古い書籍の記載にこだわらず、今後は取締役1名のみの会社の本店移転登記であっても取締役決定書を添付しようかと考えております。実際に作成しているのだから添付すればよいのであり、とくに争う場面ではないと思うので。
