あえて記事にするようなことでは無いが、少し焦った話。

遺産分割協議書の案をPDF文書で送信したところ、しばらくたってから、相続人全員の同意が得られたので署名押印をもらってきたとのご連絡が入った。

そもそも、案として作成した下書きであり、そのまま署名押印してもらうことは想定していなかったのだが、まあそれは良いとして。問題なのは、A3用紙2枚にわたる遺産分割協議をA4用紙4枚で出力してしまっていること。

その4枚をホチキスでとじて割印をしていればもちろんそれで良いのだけれども、そんなことをしておらず4枚がバラバラになっている。たとえば、そのうちの1枚は相続人の署名押印があるのみ。もう一枚は、不動産の表示のみというような具合。

そんな遺産分割協議書が通用するわけ無いでしょうと考えてしまうけれど、こちらの想像を遙かに超える出来事が起こるのは珍しいことではなく。何で事前に確認してくれないのかと思うケースは多々あるが、今回のも全く想定外の事態。

本件に関してはこちらで出力したものをお渡しし、相続人全員の署名押印を再びもらえることになったので一件落着と行きそうだが。高齢の相続人や、遠方に住んでいる相続人もいるので、一体どうなることやらと思ったものの特にクレームを受けることも無かったので一安心。

1つ間違えると、もう署名押印してしまったのだからこれで何とかしてくれみたいな話にもなりかねないし。まあ、どう考えてもこちらには落ち度が無いので、それは無理だとお答えするのみだけれども。

司法書士事務所を開業してから10数年が経ち、数多くのご依頼者と接してきたことで、人それぞれ考え方や行動が全く違うのを身に染みて感じているし、それでも問題なく業務が終了するように工夫を続けてきた。そんなわけで、細かな問題はあったとしても、現在に至るまで無事に司法書士業務を続けてこられたわけだが、いくら注意しているつもりでも今回のように想定外の事態は起こる。

不動産の表示が書かれた用紙と、署名押印のある用紙とが別々にあったとして、それを使って登記手続きをできるはずが無いと考えるのが普通なはず。しかし、複数の相続人がいて誰もその問題に気付かなかったとの事実があるのだから、普通はそうだろうと決めつけるのは専門家の身勝手な考えだともいえる。

話は逸れるが、登記完了の予定を事前に知らせているのに、まだかまだかと電話をしてくる人もいれば、完了してからすぐに電話してもなかなか連絡が取れない人もいる。終わったら連絡すると伝えており、予定を過ぎているわけでも無いのに電話をしてくるのは失礼だとも思うが、そんな考えも人それぞれか。

また、郵送してもらった書類が届き、費用の振り込みを確認したら直ちに手続きをおこない、完了後に連絡します。そんな風に伝えておいても、書類は届いたかとか、費用の振り込みは確認できたかと電話をしてくる方もいる。そこまで一つ一つご報告する必要は無いと思うのだが、連絡が無いと心配に感じる方もいるということ。

じゃあ、全てのご依頼について、書類を受領したり、費用の振り込みを確認したら、すべてご報告した方が良いのだろうか。そう思ったときもあるが、現実には電話をしてもなかなかつながらない人もいるし、そんなこといちいち連絡しないで良いのにみたいな応対をされると、やっぱりそこまでする必要は無いと考え直したり。

ベストな方法は、ご依頼時にどこまでの連絡を希望するか確認しておくことかもしれないが、それでもこちらの意図がちゃんと伝わるとは限らない。結局は、人それぞれで違いすぎるので、事前に完璧な準備をしたつもりでも、思ったようにはいかないことが多いわけだ。それでも、依頼者の満足度を少しでも上げていけるよういろいろ考えていくしかないのであり。