昨日は令和4年度司法書士試験筆記試験の合格発表があったようだ。Twitterで流れてきて知っただけであり、受験生の方との交流など全くないのだけれども、合格した皆さまおめでとうございます。

なお、このブログは開業(及び試験合格)から20年強の、早期リタイアを目標とする零細事務所の司法書士が書いているものであり、希望に溢れた皆さま方の参考になるようなものではないことをあらかじめお断りしておきます。

さて、現在の日本では新型コロナの第7波は収束しつつあり、全国旅行支援という奇妙な名前の観光需要喚起策がはじまったところである。新型コロナ第8波の懸念が消えたわけではなく、インフルエンザとの同時流行も不安視されてはいるが、コロナ前と同じような日常へ向けてまずは日本も動き出したようだ。

もうすでに新型コロナの影響が無い日常に入っているのだとすれば、司法書士事務所の売上についても今が通常なのであることを受け入れなければならない。これまでは新型コロナの影響があるから仕方ないなどとの言い訳もできたが、現時点で売上が回復していないとすれば、その水準が今後も続く可能性も高いのかもしれないわけだ。

当事務所に関していえば、相続登記が義務化されることの周知が進みつつあるせいか、相続登記についてのご相談は増えていると感じる。相続開始から長い年月が経過しているケースについてのご相談が増えていることからも、この傾向は当面続いていくことであろう。

ただし、相続登記の義務化をビジネスチャンスだと考え、ネットなどによる集客に力を入れていく司法書士事務所も多いだろうから、何もせずとも相続登記の相談が増えていくようなことにはならないだろう。今後は集客に成功した一部の司法書士事務所に相続関連の相談が集中していくのかもしれない。

その他の業務では、債務整理関連のご相談が予想に反して全く増えていない。コロナ禍による収入減少などにより債務整理の相談が増えるだろうと考えており、実際にもそのようなご相談はあったものの、件数としてはごく僅かである状況だ。

原因としては、債務整理のネット集客に力を入れる弁護士(法律事務所、弁護士法人)が増えたことで、司法書士事務所に相談しようという人が減っているように感じる。地域による違いはもちろんあるはずだが、当事務所のような地裁の支部がすぐ近くにある立地だと当然のことながら弁護士数も多いので、司法書士事務所が債務整理の集客をするのは難しくなっている。

Google検索でも弁護士(法律事務所、弁護士法人)のサイトや、弁護士検索サイトばかりが上位表示されるようになっており、当事務所は検索1ページ目の下の方に追いやられている。相続関連業務のページと同じくらいの熱量を注いでSEOをおこなえば、もう一度上位表示されることも可能かもしれないが、そこまでの力を入れて債務整理業務を取り返そうとの意欲はない。

また、大手の弁護士法人などではGoogle広告などのPPC広告による集客も積極的におこなっているだろうから、余計に零細司法書士事務所が割って入る隙はないだろう。そんなわけで、派手に広告宣伝をしている一部の司法書士法人などを除けば、司法書士事務所が債務整理で集客するのは今後も難しいだろうと考えている。

当事務所の場合、債務整理関連業務(任意整理、自己破産、個人再生など)の比率が高かったのはだいぶ前のことなので、現在では債務整理のご依頼がなくとも売上への影響はあまりないのだが。それにしても、かつては満遍なく様々なご相談があったのが、今ではSEOなどによる集客に力を注いでいるものしかお問合せが入らないような状況になっていると感じる。

司法書士事務所がホームページを作成し、取扱い業務をずらっと並べておけば問合せが来たという時代は終わっている。そのようなページでは問合せが来ないというよりは、ターゲットを絞って集客をするのでなければ、望んだような成果は得られないだろうということ。

繰り返しになるかもしれないが、ここに書いているのはあくまでも当事務所の現状についてであり、他の司法書士事務所は全く違う状況であるかもしれないが。何にせよアフターコロナ時代へ向けての勝負ははじまっております。それなのにこのようなブログを書いている暇があるってのは。